経済
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アメリカに代わる中国一極支配「オウンド・バイ・チャイナ」への野望
米国金融機関も日本自動車メーカーも買い漁れ!中国「赤いハゲタカ」ファンドの「走出去戦略」
(SAPIO 2008年3月12日号掲載) 2008年3月17日(月)配信
文=浜田和幸(国際政治経済学者)
ハゲタカといえばアメリカのファンド、という時代は終わった。赤いハゲタカ£国の運営する「国富ファンド」が、その米ファンドすら獲物に世界の金融市場を食い漁っているのだ。最新刊『北京五輪に群がる赤いハゲタカの罠』(祥伝社刊)を上梓した浜田和幸氏が、その脅威に警鐘を鳴らす。
中国の野望は、「メイド・イン・チャイナ」の時代から「オウンド・バイ・チャイナ(中国による支配)」の時代へ移行することにある。中国はその野望を達成するための大きな第一歩を踏み出した。2007年9月、国富ファンド「中国投資有限責任公司」(CIC)が2000億ドルの原資でスタートした。赤いハゲタカ≠ェ屍肉を漁るために世界に飛び立ったのである。
国富ファンドとは、国家の資産を原資とする投資ファンドで、世界にはアラブ首長国連邦のアブダビ投資庁(総資産8750億ドル)を筆頭に、ノルウェー、クウェート、シンガポールなど40ほどの国富ファンドが存在する。世界の国富ファンドの総資産は、2兆7000億ドルに達し、年々拡大を続け、すでに民間のヘッジファンドの総資産を1兆ドル近く上回っている。
中国の国富ファンドの原資は、今や1兆5300億ドルにも達した外貨である(07年12月)。中国は安い労働力を武器に世界の製造工場として工業製品の製造を引き受け、膨大なドルを溜め込み、3年前に外貨準備高で日本を抜いて世界一となった。
この有り余る外貨を、これまで中国は日本と同様にアメリカ国債などで運用してきた。アメリカは800兆円という天文学的な額の財政赤字を抱え、国家経済が破綻寸前の国だが、日本や中国が国債を買ってアメリカ経済の安定を支えてきたのである。ところが、日本が後生大事に米国債を持ち続けているのに対して、中国は莫大な外貨を最大限に活用する方向に舵を切った。
中国政府は手始めに、この外貨を中国の金融機関が抱える2兆3000億ドルにも達する莫大な不良債権処理に使った。中国政府は帳簿上、不良債権を政府が引き取る形にして、05年から07年にかけて中国の中央銀行、商工銀行、農業銀行などを次々にニューヨークや上海、香港の株式市場に上場させたのである。つまり上場益によって不良債権を処理する計画で、まさに錬金術と言うほかない。
同時に、膨大な外貨をバックとした国富ファンドCICは、積極的な投資活動を始めた。07年5月にアメリカの巨大投資ファンド、ブラックストーンの株30億ドル分(全株式の約10%)を買収し、さらにメリルリンチにも出資したのである。もっとも、その直後にサブプライムローン危機でブラックストーン株は30%下落し、CICは多額の損失を被ったが、この程度で彼らはひるまない。
民間の投資ファンドであれば、出資者に対して定期的に運用益を配当しなければならないため、株価の下落が続いたりすればもちこたえられなくなり、株を売り払うことになる。しかし、国富ファンドの場合は赤字が3年続こうが5年続こうが、顧客がいないのだから関係ない。異なる行動原理で動いているので、民間の投資ファンドにとっては恐ろしい存在となるのである。
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