二度と登頂できなくなっても私は訴えるチョモランマ「死の聖火リレー」の言語道断
巨大駐車場に売春宿、報道規制で表に出ないチベットの文化的ジェノサイドここに極まれり!
(SAPIO 2008年5月14日号掲載) 2008年5月16日(金)配信
文=野口健(アルピニスト)
チベット人権問題の中国への抗議により、世界各国で妨害されている聖火リレー。
中国は聖火をチョモランマ(英名・エベレスト)の頂上に上げる計画をたてているが、「死亡事故が発生する確率は極めて高い」と語るのは、昨年もチョモランマを訪れ、聖火リレー登山隊にチベット人隊員の友人を持つアルピニストの野口健氏だ。
聖火リレーをめぐり、チョモランマでは異常事態が起こっている。
私は今、チョモランマのネパール側に遠征している。今回の遠征の主な目的のひとつは、富士山・チョモランマ同時清掃である。これは、一昨年の富士山・マナスル(ヒマラヤ山脈に属するネパールの山)同時清掃、昨年の富士山・チョモランマ同時清掃に続くものだ。
実は、今回の清掃登山は、当初の計画では、チベット側で行ない、中国の団体も参加し協力するはずだった。
ところが、チョモランマで回収したゴミを北京で展示して、環境問題のシンポジウムを開くといった計画が進むにつれ、中国側の態度が変わった。「チョモランマのゴミを一切撮影するな、外に持ち出すな」「ゴミ問題を一切公表するな」「インターネットによる通信も規制する」と圧力をかけてきたのである。そうした規制を受け入れるわけにはいかず、仕方なくチベット側の清掃をネパール側に変更したのである。
これが象徴するように今、中国は北京オリンピックを控え、チョモランマに外国人が入り、その実態が世界に報道されることに極めて神経質になっている。
中国が隠そうとしているのは、環境破壊やチベットに対する弾圧・文化的ジェノサイド(虐殺)の実態だけではない。中国は聖火リレーの国内の特別ルートとしてチョモランマの登頂を予定しているが、この無謀で危険な計画は死者が出る恐れもある。そのことも報道されたくないのである。
ベースキャンプに巨大駐車場と 400軒以上の店が出現!
私が初めてチベットを訪れたのは1996年。その時すでにチベット自治区の首府である古都ラサには漢民族が経営する店が立ち並び、ディスコがオープンし、急速に中国化が進みつつあった。その後、私は毎年のようにチベット入りしているが、ラサの変貌には驚くべきものがある。特に一昨年の7月1日に青海省西寧とラサを結ぶ青蔵鉄道が開通し、中国各地からの観光客が急増して以降、ラサの観光地化には拍車がかかった。
まず、ラサの駅舎が異様である。東京駅の10倍とも思えるほど巨大で、日本人の感覚で言えば、まるで空港である。
本来、チベットの街には寺院を囲むように曲がりくねった狭い路地が多く存在し、人々は右肩を寺院の方向に向けながら寺を回るようにして歩く。つまり、チベット独特の路地には文化的、宗教的な意味があるのである。
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