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海外

二度と登頂できなくなっても私は訴えるチョモランマ「死の聖火リレー」の言語道断

巨大駐車場に売春宿、報道規制で表に出ないチベットの文化的ジェノサイドここに極まれり!

2008年5月16日(金)0時0分配信 SAPIO

掲載: SAPIO 2008年5月14日号


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中国が計画した無謀な聖火リレーで死人が出る

 その上、中国は危険な計画を進めている。冒頭で触れた、聖火リレーの特別ルートでチョモランマ登頂をする計画である。もしそれが成功すれば、大きな話題を呼ぶ。世界に対するアピールとしては格好の材料だ。中国政府の発表では5月10日に聖火トーチが山頂に到達、北京から運んだ火種を使って点火するという。

 私が去年の春にチョモランマに入った時、300人ほどからなる中国の登山隊がベースキャンプにきていた。聖火リレーの練習のためである。私は、チベット登山協会の人に「5月10日と決めて大丈夫なのか」と聞いてみたのだが、彼は半ば諦め顔で「国が決めたことだから、他に選択の余地はない」と答えたのだ。

 だが、登山の専門家ならば、これがいかに危険な計画であるかがすぐに理解できる。5月10日が登頂に相応しい天候になるという保証はどこにもないのである。もし、悪天候にもかかわらず山頂にアタックすれば、最悪の場合、遭難もあり得る。政府からのプレッシャーという異常な状況下で行なわれる世界最高峰への登頂が、良い結果を導き出せるかどうかは疑問だ。

 仮にベストの天候になったとすれば、登頂そのものは成功するだろう。しかし、それでも問題がある。

 チョモランマの頂上は標高8848mで空気が薄く、酸素が少ない。私はチョモランマにおいて聖火の火種の輸送にどのような方法を用いるのかは知らないが、テント内での火の扱いは極めて難しい。

 チベット登山協会の知り合いは「300人でアタックするから何とかなるだろう」と言っていたが、これではまるで日露戦争で多大な犠牲を出しながら攻略した203高地を巡る戦いと同じである。

 私はこの聖火リレーのチョモランマ登頂では、かなりの確率で事故が起こると予測している。もし実際に死亡事故が起これば、オリンピック史上初めての事態である。中国は国際社会にそれを絶対に知られたくない。ナンパ・ラ峠でのチベット人銃撃事件のように、インターネットで事故の様子を配信されたくない。そのため今、聖火のための中国隊以外は5月10日以前にはチョモランマに登頂できないように規制している。当初はチベットルートだけの規制だったが、その後ネパール側からのアタックも禁止された。中国からネパールに圧力がかかったのだろう。

 私はこうした一連の事実を、知り合いの日本の新聞記者に話し、記事にしてくれるよう頼んだ。だが、その保守系の新聞の記者ですら、「北京オリンピックが終わるまでは中国を刺激する記事は掲載できない」と尻込みしたのである。

 私がこのように公のメディアで中国批判を行なえば中国のブラックリストに載せられ、二度とチベットルートを利用できなくなるかもしれない。それは登山家としては大きな損失であり、発言を思い止めたい気持ちがないわけではなかった。だが、事実を知りながら発言しないことは、間接的にチョモランマの環境破壊、チベットに対する文化的ジェノサイドに手を貸すことになる。もっと多くの日本人がチベットとチョモランマの現状に目を向け、オリンピックへの参加の是非も含め、真剣に議論すべきである。

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