拝啓 河野洋平衆議院議長
「三権の長」であるあなたがチベット問題を「広報の工夫」でごまかせとは言語道断です
(SAPIO 2008年5月28日号掲載) 2008年6月6日(金)配信
文=井沢元彦(作家)
チベット騒乱の影響が冷めやらぬなか、聖火リレー、胡錦濤来日と中国関連の行事が続いている。日本としては、これを機に毅然とチベット問題への懸念を中国側に表明すべきところ。ところが、メディアで大きく報じられないのをいいことに、中国におもねる発言をしていた日本の要人がいたのだ。作家・井沢元彦氏は媚中派の言動を見逃さなかった。
世界中が中国の傲慢さに怒り呆れ返っている中で、またまた「あの人」がやってくれたようだ。
まず以下の記事を読んで頂きたい。
〈河野議長が親中派≠ヤり発揮 楊外相との会談で
河野洋平衆院議長は18日、来日中の中国の楊潔篪外相と議長公邸で会談し、5月に予定される胡錦濤国家主席の訪日と、北京五輪の成功に期待感を表明。チベット問題に対しては「中国の主権の範囲で問題が解決されることを望む」などとして、チベット問題を内政問題として処理したい中国側の意向に配慮する姿勢を強く打ち出した。
河野氏は「人権への国際的な関心が高いことには配慮する必要がある。もう少し広報の工夫があってもいい」と指摘したが、聖火リレーで混乱が続く北京五輪については「良い五輪になることを祈っている」と述べるにとどめた。これに対し楊氏は「日本がチベット問題を中国の内政問題ととらえていることを評価する」と河野氏の発言を歓迎する姿勢を強調した〉
(産経新聞電子版4月18日付、傍線は筆者)
まったくこの人は、かつては自由民主党の総裁までつとめたはずだが、自由とか民主主義とか人権とか、そうしたことの本当の意味がまるでわかっていないようだ。
いや、そればかりか歴史もよくわかっていないようだ。
一国の「三権の長」である国会議長にこんなことを言うのは本来大変失礼なことなのだが、こうなっては仕方が無い。まあ、お忙しいだろうから簡潔に申し上げよう。
18世紀以降の世界の歴史は、欧米諸国がアジア・アフリカの独立国を次々と植民地化し、その民族の自決権を奪っていった歴史であった。後に日本もこの方向へ進んだが、植民地化というのは、長いスパンで見れば、インフラや初等教育の整備など「功」の部分も無いとはいえないものの、最大の「罪」は民族としての行動の自由を奪い、またその民族文化を否定したことだろう。
そして、人類は大きな教訓を得た。一つの民族を、その文化と共に抹殺しようなどということは、最大の蛮行であるだけでなく必ず失敗に終わるということだ。「植民地化」ではないが、ナチスドイツのホロコースト(ユダヤ民族抹殺計画)も結局は失敗したではないか。
いわば地球人類は「高いコスト」を払って、そのことに気が付いたのである。だから欧米諸国も日本もそれはやめた。かつてソビエト連邦という国があり、共産党一党独裁政権下で、この「力ずく政策」を取り続けたが、それも破綻した。
ところが、もう21世紀になるというのに、そのことにまだ気が付かない「バカな国」がある。
それが「中華思想」という、「他の文化はすべて野蛮だから中国化すべきだ」という、人類の歴史上最も傲慢な思想を持つ国「中国」である。
バックナンバー記事
- 「スタジオの華」は邯鄲の夢 女子アナ下流時代がやってきた (SAPIO 2009年11月23日(月))
- 相次ぐ訴訟に隠蔽工作文書まで流出「JAPANデビュー」問題の収拾困難=井上和彦 (SAPIO 2009年11月19日(木))
- 「記者クラブ開放」に反対する新聞・テレビはいったい誰の味方なのか=上杉隆 (SAPIO 2009年11月16日(月))
- 日米のグリーンを席巻する韓国女子プロゴルファーの「芳しくない評判」=鵜飼克郎 (SAPIO 2009年11月3日(火))
- 新聞・テレビが報じない新型インフル 「本当は恐ろしい話」=油井香代子 (SAPIO 2009年10月29日(木))
