谷亮子も星野ジャパンも現地で応援できない!?
北京五輪「闇チケット」を日本人に高値で売りつける現地ブローカーに中国当局の影
(SAPIO 2008年8月23日号掲載) 2008年7月25日(金)配信
文=野村康之(ジャーナリスト)
《北京五輪をボイコットせよ》とは、中国の人権侵害を問題にした世界的な抗議のスローガンである。五輪の舞台で世界に対して改革開放≠竍経済発展≠アピールする表の顔と、未だに民族浄化や外交謀略を繰り返す裏の顔は、確かにあまりにも違いすぎる。しかし、この国の無法ぶりは、表の顔であるはずの「五輪パフォーマンス」にもにじみ出ていた。こともあろうに、五輪観戦チケットを人質に取り、日本人の懐を標的にしてきたのである。
昨年、日本人の海外旅行者は4年ぶりに減少した。4年ぶりとはいっても、それまでの3年間も、9・11テロやSARSの影響で激減した人数が少しずつ戻っていただけだから、こんなところで早くも回復が腰折れしているようでは、旅行業界が真っ青になるのも当然だろう。
そんな業界が一縷の望みをかけるのが北京オリンピック特需である。チベット問題や四川大地震、原油高による航空代金急騰などの足かせはあるものの、なにしろ4年に一度の大イベントが隣国・中国で行なわれるのである。最大手のJTBなどは、早くから前回・アテネ大会の3倍以上にあたる1万人分のツアーを計画して腕ぶしていた。
ところが、である。
開会まで1か月あまりに迫った6月下旬、本誌記者が同社スポーツデスクに電話してツアーに申し込もうとすると、こんな力ない言葉が返ってきた。
「女子柔道ですか・・・谷亮子選手の出場する48s級は、今のところツアーを組む予定がありませんので・・・」
え? 最も金メダルに近い日本選手≠応援するツアーが、JTBにない?
「チケットが全く手に入らないのです。お問い合わせの多い開会式、閉会式参加のツアーも、ご用意できる分はすでに完売しております」(同デスク)
キャパシティに限界があり、世界中が見たがる開会式、閉会式がプラチナ・チケットになることはわからなくもないが、世界的には決して人気競技ではない女子柔道のチケットが、最も見たがる日本人の手に届かないというのは腑に落ちない。その後、同社は女子柔道や開会式のツアーを募集したが、いずれも定員はわずか数名だった。
五輪チケットは、北京五輪組織委員会が一括販売している。これはどの五輪でも同じで、その中から国内販売分、公式スポンサー分などを差し引いた残りを、各国のオリンピック委員会からの要望を受けて国ごとに配分するのが通常のやり方だ。今回、日本オリンピック委員会(JOC)は、JTBなど8社の公式代理店を指定し、希望する競技、チケット枚数などを集計したうえで、当初は北京の組織委員会に14万枚を要求した。
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