日銀レポート「賃金上昇圧力が高まっていく」に騙されてはいけない
たとえ景気回復しても人手不足でもあなたの給料はむこう10年下がり続ける
(SAPIO 2008年7月23日号掲載) 2008年7月28日(月)配信
文=みずほ証券チーフマーケットエコノミスト 上野泰也
かつて日本のサラリーマンの給料は同じ会社に勤め続けていれば確実に上がっていった。不況時にたとえベースアップゼロが続いても、定期昇給分の給料の上昇があった。しかし、エコノミストの上野泰也氏は、今後日本人の給料はもはや上がる可能性は低く、むしろ経営者の視点から見ると下がる要因の方が強いという。なぜ給料が上がらないのか。その原因を解説する。
この先、5年。いや10年。間違いなく、日本人の給料は上がることはない。良くて横ばい。最悪の場合、下がり続けることも十分あり得る。「いや、そんなことはないはずだ」という反論もあるだろう。
実際、日銀は、半年ごとに発表している「経済・物価情勢の展望」で、2期連続、「賃金は上昇する」との見通しを打ち出している。まずは昨年10月のレポートから見てみよう。
「賃金については、グローバルな競争や資本市場からの規律の高まり、原材料高などを背景に、中小企業を中心に人件費抑制姿勢が根強いことに加え、賃金水準の高い団塊世代の退職やパート比率上昇に伴う人員構成変化などもあって、やや弱めの動きとなっているが、労働市場の需給がさらに引き締まっていけば、徐々に上昇圧力が高まっていくと考えられる」
そして、この考えは最新レポートにも引き継がれている。
「企業の人手不足感は強く、雇用者数は増加を続けると考えられる。賃金についても、労働需給がタイトな状況が長期化することから、じわじわと上昇圧力が加わっていくとみられる」(08年4月)
それだけではない。新卒の給料も上昇している。日本経団連のレポートによれば、2007年3月卒の新入社員の初任給を前年と比べた場合の上昇率は「全学歴においてほぼ倍増し(0・52〜1・11%)、大学卒事務系の対前年上昇額が、1997年以来10年ぶりに1000円を超えた(1354円)」(07年9月「新規学卒者決定初任給調査結果」)
ご存知の通り、団塊世代の大量退職と、一時期の不況からの脱出によって、就職は売り手市場となった。企業は有能な若手を確保すべく、新卒の初任給を軒並みアップさせたのである。
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