「戦略的互恵関係の第一歩」とは笑止千万
やっぱり日本の「無戦略的完全敗北」だった東シナ海ガス田共同開発の真相
(SAPIO 2008年8月20日・9月3日号掲載) 2008年9月19日(金)配信
文=田村建雄(ジャーナリスト)
「日本の外交勝利」「日中友好の具体的成果」東シナ海ガス田共同開発の合意には、好意的な報道がならび、得点の少ない福田外交にとっても好材料となった。しかし、果たしてこの「合意」、額面通りに受け取っていいものか。
ジャーナリスト田村建雄氏が、日中双方の関係者取材から「合意」の真意を読み解く。
やっぱり日本は、はめられていた。
中国国内向けには「わが国の主権」を強調
私が非公式に接した中国政府関係者は、こう笑いとばした。
「中国にとっては平和的大前進、大勝利ですよ」
一方、日本の経産省OBはこう嘆いた。
「無戦略的完全敗北」
ともに東シナ海のガス田と日中の海洋境界線などをめぐっての問題を論評したものだ。
東シナ海の尖閣諸島、ガス田開発と海洋境界線問題では日中は30年もの長い間、対立が続いてきた。
しかし6月18日、高村正彦外相と甘利明経産相が揃って外務省で会見を開き、中国とガス田の「共同開発」が行なわれる見通しになり、まさに「戦略的互恵関係」の第一歩が始まったと自画自賛した。この会見を踏まえて、冒頭、中国政府関係者が凱歌をあげ、経産省OBが日本側の無能ぶりを批判したのだ。
日本政府の見解と、中国・日本関係者らの本音、これらの大きな乖離はどこからくるのか。報道、会見内容や内部証言を詳細に精査し、その相違を浮き彫りにしてみよう。
まず日本外務省が公表した日中共同プレス内容の概要ポイントだ。
〈東シナ海における日中間の協力について〉
「日中双方は、日中間で境界がいまだ画定されていない東シナ海を平和・協力・友好の海とするため、(中略)境界画定が実現するまでの過渡的期間において双方の法的立場を損なうことなく協力する」
境界未画定期間、過渡期の「協力」についての日中双方の概念が述べられている。
次に具体的内容だ。
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