面白ければ何をやってもいいわけではない!
バラエティ化した報道番組はいまや古代ローマ時代の「サーカス」と堕した
(SAPIO 2008年9月24日号掲載) 2008年10月3日(金)配信
文=八木秀次(高崎経済大学教授)
最近、ニュース番組がやけに騒がしい。横並びの浮ついた五輪報道が終わっても、そのノリは変わらない。いまやバラエティ番組と見紛うほどに、毎日がお祭り騒ぎのような有り様なのだ。高崎経済大学教授の八木秀次氏がこの現状に警鐘を鳴らす。
北京オリンピック開会式の「やらせ」が次々に発覚して鼻白む思いのした人は多かったろう。今のところ明らかになった「やらせ」は以下の通りである。
(1)北京市内から会場となった国家体育場(鳥の巣)まで連続で打ち上げられた巨人の足跡の形の花火の映像はコンピュータグラフィックスによる合成映像だった。
(2)終盤に登場して歌った9歳の少女の革命歌は実は口パクで、吹き替えの別の少女(7歳)が歌ったものだった。
(3)冒頭の中国国旗とともに56人の子供たちが各民族衣装を着て登場するシーン(中国側は「中国の56民族の子供たち」と説明していた)は、実はそのほとんどが最大民族の漢族出身の子供によるものだった。漢族が少数民族の衣装を着ていたというわけだが、北京五輪組織委員会はこれを「中国のパフォーマンスではよくあることだ」と釈明し、「民族共生」の演出だったと認めている。
これらの演出≠し、開閉会式の総監督を務めたのは『初恋のきた道』や『単騎、千里を走る。』などの作品で知られる映画監督の張芸謀氏である。張氏は口パクについて「あれは私が決めた」「モラルの問題ではないし、そんな重大な問題とは思わない。一種の創作だ」「(海外メディアの批判的報道について)気にとめない。芸術の創作上のことで小さなことを意図的に拡大するのはよくない。それで開会式を否定しようとするのはなおさらよくない」などと答えている(『朝日新聞』8月18日付夕刊)。まさに「やらせ」も演出の一つの手法であるということだ。
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