野村、三菱は米銀を「買った」のか「買わされた」のか
今さら「米金融界」と「ドル」を救済する 日本は負の遺産だけつかまされる
(SAPIO 2008年11月12日号掲載) 2008年11月18日(火)配信
文=京都大学名誉教授/大阪産業大学教授 本山美彦
米国発金融危機は収まるのか。元凶ともいうべき米国の投資銀行に日本が救済の手を挙げ、「ジャパンマネーの復権」と歓迎されている。この選択に間違いはないのか。
『金融権力』(岩波新書)ほか多くの著作で米国型グローバル経済の病理を批判し続けてきた本山美彦・大阪産業大学教授が、日本の金融政策に警鐘を鳴らす。
今、世界を覆っている米国発の金融危機とは、ひと言で言えば「投資銀行モデル」の終焉である。
「銀行」と聞いて一般にイメージするのは商業銀行だ。商業銀行は預金者から集めた金を企業に融資し、生産を支え、経済を発展させてきた。企業に銀行の監視が入るため、このシステムは安全かつ健全だった。
だが投資銀行とは、最近では米国メディアが「シャドー・バンキング・システム」と呼ぶようになった不透明な存在だ。シャドーとは影だが、「闇」で動く銀行と呼ぶほうがふさわしい。富裕層の「会員制クラブ」であるファンドからお金を募り、金融工学を駆使して投資に回す。「ハイリスク・ハイリターン」を売り物にする銀行だ。
本来、「リスクを取る(リスク・テイキング)」とは、身の危険を挺して向かう崇高な行為を指すものだった。しかし、現代の金融ゲームにおける「ハイリスク・ハイリターン」という言葉には、高尚さのカケラもない。危険な相手に高利で金を貸し、さらにそのリスクを様々な方法で他者に転嫁して、「ハイリターン」だけを当然の報酬として確保するものとなった。「日本の金融機関はリスクをとらないからダメだ」との批判がまことしやかにされてきたが、その内実とはこのようなものだったのである。
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