言論フラット化 取材現場の様子も、自らの取材対応もブログで叩かれる
ネットユーザーたちが暴き始めた「客観報道」というまやかし=佐々木俊尚
(SAPIO 2008年11月12日号掲載) 2008年11月25日(火)配信
ところが、今は違う。かつてなら一般の読者や視聴者にとってはブラックボックスだった取材現場における野次馬ぶり、不謹慎な態度が、ネットユーザーにより、掲示板、ブログ、動画投稿サイトなどで、文章で書かれるだけでなく、画像、映像、音声付きで生々しく暴かれるようになったのである。
実際、秋葉原の事件のときには、新聞記者が容疑者に「あれってオタクがやったんだよね」と大声で問いかけたり、一般の人たちに「誰かもっとセンセーショナルな写真を持っていませんか」と聞いて回ったりする様子がネットにアップされた。5月に愛知県豊田市で女子高生が殺害された事件のときには、テレビ局のスタッフたちが殺害現場の近くで手を叩いて笑っている映像が投稿された。これ以外にも、路上禁煙地区になっている取材現場でマスメディアの人間がタバコを吸い、ポイ捨てしている様子や、違法駐車を注意した周辺住民にマスメディアの人間が怒鳴っている場面がネット上で報告されるといった例は数多くある。
ちなみに、秋葉原の事件の翌日、新聞各紙は、一般の人が撮影した容疑者逮捕の瞬間を写した写真を掲載した。こうしたことは従来から当たり前のように行なわれていた。ところが、毎日新聞社内ではその写真を紙面に使うべきかどうかで議論が起こったと聞く。同じ紙面の片隅で、一般の人の撮影行為や赤外線送受信行為を批判的に取り上げる記事を掲載した手前、皮肉なことに、「そんな写真を借りて掲載していいのか」という建前に自縛されてしまったからだ。
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