150円のコーヒーも借金で買い、貯蓄率はマイナス。借金に借金を重ねるその呆れた生活こそが、世界を地獄に陥れた
「クレジットカード・ネーション」の住人たちの「超借金まみれライフ」=武末幸繁
(SAPIO 2008年12月17日号掲載) 2008年12月29日(月)配信
文=武末幸繁(在米ジャーナリスト)
そもそも誰が悪いのか。サブプライムローンを野放しにしたFRBグリーンスパン前議長か、金融政策を誤ったブッシュか、はたまた規制も審査も曖昧だった新自由経済自体の問題か、いやいや、もとを糾せば、借金まみれの生活が当たり前と考える米国人の金銭感覚が問題ではなかったのか。金融危機後も変わらず、分不相応な生活を続ける「懲りない」米国人の呆れた超借金生活を伝える。
今年もクリスマス商戦(最近は宗教色をなくしホリデー商戦と言われることが多い)の時期となった。クリスマス商戦とは11月下旬の感謝祭の翌日からクリスマスまでのセール期間のことで、年間売り上げの4分の1から3分の1を占めると言われている。
知り合いの中に、この時期に毎年1万ドル(約100万円)ほど買い物するという30代の男性がいる。彼の年収は聞いたことはないが米国の平均的家庭だと思う。ただ子供が4人もいて生活は毎月ぎりぎり、その1万ドル分の買い物はすべてクレジットカードを使い、1年かけて少しずつ返していくのだという。
金利を払うのがもったいないと思うが、今、欲しいものを妻や子供たちに与えることを優先させているそうだ。彼が言うには、友人には5万ドル(約500万円)ほど未払い状態でミニマム・ペイメント(リボ払いの最低支払い額)だけを払って生活を続けている強者もいて、それに比べればたいしたことはないと笑う。
アメリカ人の1人当たりのクレジットカード平均保有枚数は5枚強で、1割は10枚以上持っているという(日本人は平均2枚強)。
クレジットカードをなんでそんなに持っているかについては、米国で生活してみるとすぐに分かる。まずクレジットカードを使えるところが多い。今では1ドル50セント(約150円)のマクドナルドのコーヒーもカードで買える。そのためなんでもカードで払う癖がついてしまう。便利であり、なにより欲しいものがすぐに手に入る。分かりやすく言おう。米国ではクレジットカードのことを別名「プラスチック・マネー」と呼ぶ。
何か大きな金額のものを買う際に、新しいクレジットカードを作ることは珍しくない。カードで買って翌月に全額を払えばいいのだが、1億4500万人のカード保有者のうち、毎月全額を精算しているのは5500万人、3人に1人だという。2%のミニマム・ペイメントだけ払って済ましてしまう人も多い。
では、1万ドルなりの借り入れ限度額(信用枠)を使い切ってしまったらどうするかというと、心配はいらない。新しいカードを作ればいい。
カードを作るのは簡単だ。勧誘は多く、私のところへも今も月に2、3通はダイレクトメールが来ていると思う。すでに私は4枚持っているのだが。中身を読んでみると、カードを作れるかどうかについては「事前承認済み」で「あなたの借り入れ限度額は8000ドル(約80万円)からスタートです」などと書かれている。低金利や年会費無料などをうたい文句にしたものが多いが、特に人気なのは期間限定で、例えば来年の6月までなら金利ゼロといったものだ。
これがけっこう罠である。上手に利用する人もいるが金利なしの期間をいつの間にか過ぎて、年利20%以上の金利をかけられているという事態になっていたりするのだ。まるでクレジット版サブプライムローンである。
時々、レジでカードが拒否され別のカードを試している客を見かけることがある。機械の読み取りトラブルの場合もあるようだが、たいていはカードが借り入れ限度額一杯になっているので使用停止になっているのだ。本人もどのカードをどれくらい使っているかよく把握していないのである。そしてある時、返済が膨大な金額になっていることに気づくのである。現在の米国の1世帯当たりカードローン借り入れ額は2000年に比べて15%増え、8565ドル(約85万円)に上る。
バックナンバー記事
- 「スタジオの華」は邯鄲の夢 女子アナ下流時代がやってきた (SAPIO 2009年11月23日(月))
- 相次ぐ訴訟に隠蔽工作文書まで流出「JAPANデビュー」問題の収拾困難=井上和彦 (SAPIO 2009年11月19日(木))
- 「記者クラブ開放」に反対する新聞・テレビはいったい誰の味方なのか=上杉隆 (SAPIO 2009年11月16日(月))
- 日米のグリーンを席巻する韓国女子プロゴルファーの「芳しくない評判」=鵜飼克郎 (SAPIO 2009年11月3日(火))
- 新聞・テレビが報じない新型インフル 「本当は恐ろしい話」=油井香代子 (SAPIO 2009年10月29日(木))
