大統領予備選で互いに酷評し合った外交政策を本当に共有できるのか
オバマ=ヒラリー「呉越同舟」外交は米国の「鬼門」中東で衝突する=古森義久
(SAPIO 2009年1月28日号掲載) 2009年1月28日(水)配信
文=古森義久(産経新聞ワシントン・駐在編集特別委員)
第44代アメリカ合衆国大統領に選出されたバラク・オバマ。1月20日の就任式を終えるといよいよオバマ政権が出帆する。政権の中枢ともいえる国務長官は、民主党の予備選で熾烈な戦いを繰り広げたヒラリー・クリントンだ。経済で失速しているとはいえ、世界のスーパーパワー・アメリカの外交はどうなるのか。オバマ=クリントン体制に世界中が注目している─。
唯一の共通点はアンチ・ブッシュ政権
アメリカのオバマ次期政権では外交面で複雑な錯綜が起きそうである。オバマ次期大統領が民主党内のライバルとして激しく衝突してきたヒラリー・クリントン上院議員を外交の責任者の国務長官に任命したからだ。
大統領選挙の予備選ではオバマ、クリントン両候補がまさに外交政策をめぐって険悪で熾烈な戦いを繰り広げた。クリントン候補が流した「ホワイトハウスの電話が午前3時に鳴ったら」という選挙コマーシャルが話題を呼んだが、その趣旨は外交上の危機には未経験のオバマ氏ではとても対応できないという批判だった。そしてオバマ氏の「大統領に就任すれば、すぐにイラン、北朝鮮などの最高指導者と前提条件なしに個別会談をして、問題の解決にあたる」という言明を「あまりに無知な外交姿勢だ」とも酷評した。
その一方、オバマ氏も「クリントン氏は大統領夫人として各国を回っただけで、実際には外交の経験はほとんどない」と反撃し、ブッシュ大統領のイラクのフセイン大統領打倒の攻撃に、彼女が上院議員として賛成票を投じたことを非難し続けた。
そんな二人がこんどは一転、チームを組んで新政権の外交を推進するというのだから、離合集散は政治の常とはいえ、二人の言葉をまともに受け取っていた側は当惑させられる。オバマ氏がそれでもなお最強のライバルをあえて国務長官に登用したのは、民主党内の団結強化の狙いや、クリントン氏の次回の大統領選での敵対封じの試みなど、したたかな計算あってのことだろう。
バックナンバー記事
- 「スタジオの華」は邯鄲の夢 女子アナ下流時代がやってきた (SAPIO 2009年11月23日(月))
- 相次ぐ訴訟に隠蔽工作文書まで流出「JAPANデビュー」問題の収拾困難=井上和彦 (SAPIO 2009年11月19日(木))
- 「記者クラブ開放」に反対する新聞・テレビはいったい誰の味方なのか=上杉隆 (SAPIO 2009年11月16日(月))
- 日米のグリーンを席巻する韓国女子プロゴルファーの「芳しくない評判」=鵜飼克郎 (SAPIO 2009年11月3日(火))
- 新聞・テレビが報じない新型インフル 「本当は恐ろしい話」=油井香代子 (SAPIO 2009年10月29日(木))
