李登輝台湾元総統が日本語で特別寄稿
混迷の時代、国家の要諦とはいかに存続するかではなくいかに超越するかである。=李登輝
(SAPIO 2009年1月28日号掲載) 2009年2月4日(水)配信
文=李登輝(台湾元総統)
対中傾斜を加速させた馬英九現総統の深刻な支持率低下、海外不正送金や機密費横領の容疑による陳水扁前総統の逮捕。自らの後を継いだ指導者たちの相次ぐ失墜に、李登輝元総統はいま、何を思うのか。
このたび、元総統は自ら日本語で筆を取り、現状への憂慮と、今後、台湾が立ち直るための指針を示した。1月15日には86歳になる高齢に至り、民主化への意欲はいっそう強く、思慮はますます深い。その教訓の数々は、われわれ日本人にとっても重大な指針となるはずだ。
一九九六年から二〇〇四年、この間、三回の総統直接選挙が行なわれ、台湾の民主化は当然のことながら強化される時期に入るはずでした。しかし残念なことに二〇〇四年の選挙以降は、それがならないばかりか、逆に後退の危機に見舞われています。
世界第三波の民主化を研究する専門家であるサミュエル・ハンチントン教授は「第三の波として民主化を遂げた国における民主の強化は、つねに四大挑戦に直面する」と語っています。
その一つ目は、民主化過程における参与者の造反。二つ目は、明らかに反民主的なイデオロギーの政党や政治運動の選挙における勝利。三つ目は、行政部門の権力壟断。これは民選首長が権力を一身に集め、立法部門の監督を回避し、行政命令で統治を進めるといった事態にも及ぶ。四つ目は政府が人民の政治権と自由権を剝奪すること。
今日、私たち台湾人民はこの四つの大きな民主化の挑戦を考え、深く反省し、台湾の民主化の病理を総体的に検討しなければなりません。
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