セレブも庶民もムキになる骨肉争いの苛烈
罵り合いから裁判、刑事事件も招く相続トラブルのコワ〜イ話=本誌編集部
(SAPIO 2009年6月24日号掲載) 2009年7月2日(木)配信
文=本誌編集部
「骨肉の争い」「お家騒動」……遺産相続を巡る親族の確執は、血縁関係があるからこそモメにモメるのかもしれない。「兄弟が末永く仲良くしてほしい」と、故人がよかれと思ってしたためていた遺言書が意外なトラブルを生むことは、決してまれではない。
遺言書を巡るトラブル、と聞くと「お金持ちだから起こること」「財産もないから、ウチには関係ない」と考える人が少なくないだろう。だが、たとえ遺産が少なくても大きな対立を招く可能性はある。『これからの遺言と財産管理』(日本評論社)の著者である越谷公証役場の公証人・生田治郎氏は、以下のように指摘する。
「04年では6万6932件だった公正証書遺言の作成数は、08年には7万6436件に増加しました。また、任意後見制度の利用件数も、3547件(04年)から7120件(08年)と急増しています。法定相続の矛盾や不合理を遺言書で解決したいという人が増えたためでしょう。逆にいえば、それだけ遺言書を巡るトラブルが身近なものになってきたといえます」
遺言書を巡るトラブルにはどんなケースがあるのか。税理士で『相続対策の勘所』(金融財政事情研究会)の著者・清水真一郎氏は、もっとも多いトラブルとして「書式の不備などの単純ミスで遺言書そのものが効力を失う例」を指摘する。単純ミスとは、遺言書が法の定める必要な書式を満たしていない、ということ。必要な書式とは、捺印、日付、自筆であること、といった要素である。
そう聞くと「単純ミス程度の話か」と感じる人がいるかもしれないが、侮ってはいけない。「7月吉日」と書かれた遺言書が無効となった例や、正確な日付でも書く場所を間違えただけで遺言すべてがフイになった例もある。『遺言状を書いてみる』(ちくま親書)の著者・木村晋介弁護士はこんな実例を紹介する。
「ある人が書いた遺言書には、本人の署名と印鑑が押されていました。ところが日付だけがない。日付は書面を収めた茶封筒に書かれていたのです。しかも、その封筒は封印されていなかった。私自身、こういった遺言書に2度ほどお目にかかったことがありますが、これでは遺族はともかく裁判所は遺言書として認めてくれません。封筒が封印された状態であれば、有効になりますが……」
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