頑張らない農家≠ルど得するシステムが日本の食糧安保を危うくする
農家と消費者を利権化してきた「農協=農水省=族議員」トライアングル=山下一仁
(SAPIO 2009年7月22日号掲載) 2009年8月3日(月)配信
文=東京財団上席研究員 山下一仁
サラリーマン収入で生計を立てる兼業農家。農薬漬けの野菜。高価な農機具を買うための借金。そして、米作りを止める減反……。
戦後日本の農業にもたらされた歪みの元凶に「農協」がある。08年に農水省を退職した山下一仁・東京財団上席研究員が、「農協・農水省・族議員」が一体となった「トライアングル農政」の腐敗構造を暴く。
農協とは農業者の所得や地位向上のための協同組織である。都市部でもJAのロゴマークで知られている。しかし、その農協が日本農業の衰退を招く元凶となっている。
戦後食糧難の時代、食糧管理制度というものがあって、政府は農家からコメを集めて(供出という)国民に安い価格で平等に配給していた。しかし、ヤミ市場の価格のほうが高いので農家はヤミに流してしまう。それでは貧しい人は食べられなくなる。そこで農家にコメを供出させる機関として、農協が生まれた。全農家を加入させ、資材購入、農産物販売、信用(金融)事業など農業・農村の全ての事業を行なっていた戦時中の統制団体を転換した組織だ。このような総合#_協は世界的にも珍しい。欧米では、協同組合はあくまで酪農、青果などの作物ごと、生産資材購入、農作物販売などの機能ごとに作られている。また、日本でも生協や中小企業などの協同組合で金融(信用)事業を兼務しているところはない。
農協はこの総合性をフルに活用して発展してきた。食管制度で政府が買い入れたコメ代金が農協の金融部門である農林中央金庫(農林中金)を通じて農家の口座に振り込まれるまでの間、農林中金はこれを運用して大きな利益を上げた。農業から半分以上足抜けしようとしている兼業農家のサラリーマン収入や、年間数兆円に上る農地の宅地などへの莫大な転用収入も、コメ代金と同じく農協口座に集まり、これが農家のアパート建設資金に貸し付けられたり有価証券で運用されたりした。皮肉にも農協は兼業農家とともに、脱農化≠ノよって発展してきたのだ。ただし、脱農化の行き着く先は、農業°ヲ同組合の否定だ。現に都市部の農協は不動産°ヲ同組合といったほうが現実にあっている。
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