「若者文化」が消えて20年
草食系男子と孤独死を増殖させる共同体なき「底抜けの世界」=宮台真司
(SAPIO 2009年8月19・26日号掲載) 2009年9月7日(月)配信
文=首都大学東京教授・宮台真司
この20年間、最も輝きを失ったのは若者と若者文化ではないか。ニート、引きこもり、草食系など、出てくるのはネガティブなイメージばかり。なぜそうなったのか。ベストセラー『日本の難点』(幻冬舎新書)を著わした宮台真司氏が解説する。
「○○族」のような名称で若者を世代で括れたのは80年代前半の「新人類」まで。この20年、若者に関する呼称には、団塊ジュニアを示すイチゴ(15歳)世代、チーマー、コギャル、B−Boyなどがありますが、ピンときにくいでしょう。
若者文化に疎い年長者に限らず、同世代であっても、自分が関わっていない集団については何も知らないのです。こうした傾向を僕は20年前から「島宇宙化」と呼んできています。昨今では「トライブ化」という言い方もされています。
80年代前半までは全世代の誰もが知る流行がありました。人気職業をファッションや住居などで「マル金(金持ち)/マルビ(貧乏)」に分類した『金魂巻』が大ヒットしたのも、「あるある」という、うなずき合いが可能だったからです。
80年代後半から状況が変わります。実は萌芽がありました。僕がそれに気がついたのは80年代半ば。「新人類」と呼ばれる僕の同世代が社会に出て「野球のウンチク話に乗らない」「仕事帰りに焼き鳥屋の一杯に応じない」と言われたのです。
重要なのは2つの間の関係です。若者が野球そのものに興味を失ったのではなく、野球のウンチクを交わす焼き鳥屋という「場」に関わらなくなったことで、野球中継に関心を持つ必要が消えたということです。
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