脳科学は万能か?
自由自在に生き方を変えられる
苫米地英人(脳機能学者)
(VOICE 2009年10月13日掲載) 2009年10月18日(日)配信
霊の存在を肯定するオカルト
いま脳科学が大きな注目を集めている。脳科学と名の付く書籍、テレビ番組、教育などが一般にも広く普及している。
しかし一方で、脳科学に対する批判も根強い。そのほとんどは、「脳が人間のすべてではない」「人の心と脳は別物だ」という意見である。これには自信をもって答える。「脳と心は同じものだ」と。まずはこの誤解を解き、最新の脳科学の歩みを紹介するところから始めたい。
「脳と心」とは、俗にいうと「体と霊(魂)」である。これが別というのはつまり、物理的な身体とは別に(精神の)世界があるという考え方で、西洋では「二元論」といわれる。二元論というと1つの科学的な立場に聞こえるが、これははっきりいって、霊(魂)の存在を肯定するオカルトである。
21世紀という時代に、いまだカルト集団に騙されたり、詐欺に遭ったり、テレビ番組で堂々と「前世」や「魂」が語られ、それを信じてしまう人がいる。しかし「前世」や「魂」を記憶・認識しているのは、その人の脳にすぎない。
専門的になるが、人間の記憶は脳の側頭葉にあり、短期の記憶については側頭葉内の海馬が必ず処理を行なう。レム睡眠中には海馬が再活性し、高次連合野と連動して、大脳新皮質に記憶が長期化される。要するに、海馬や大脳新皮質の神経ネットワークがないと、記憶というものはありえない。人は死後、たいていは焼かれ、さもなくば腐ってしまうので、脳もそのなかの大脳新皮質の神経回路もなくなってしまう。つまり、記憶はそこで消滅し、自動的に「前世」も「魂」もなくなるのである。
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