投機は市場の「必要悪」
上野泰也(みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)
(VOICE 2009年10月31日掲載) 2009年11月7日(土)配信
為替スワップディーラーの仕事
「投機」とか「投機筋」というのは、いったい何だろうか。20年以上にわたってマーケットを見つづけてきた筆者だが、そうした素朴な疑問をぶつけられると、正確にどう言い表したらよいのか考えて、返答に窮してしまうことがある。
そこで、国語辞典を引いてみると、次のように書いてあった。
1.(ア)偶然の利益を狙って行なう行為。(イ)将来の価格変動を予想して、価格差から生ずる利益を得ることを目的として行なう売買取引。2.禅宗で、修行者が禅の心機に投合すること。学人の機と師家の機と合致すること。
マーケットで一般に使われている意味は、「1.(イ)」である。景気・物価状況や政府・中央銀行の行なう政策などが先行きどうなるのか、ヤマ勘ではなく、集めた材料を基に思考を展開して予想を立てたうえで、比較的短期間での値上がり益確保を狙った売買を行なう行為が「投機」であり、そうした売買を行なう投資家が「投機筋」ということだ。「1.(ア)」にあるような、偶然を当てにした売買を行なうということではない。
実際、「投機」にあたる英単語は、スペキュレーション(speculation)。動詞はスペキュレート(speculate)で、投機を行なうという意味のほかに、思索する・推測するという意味があり、こちらのほうが英和辞典では前に書かれている。投機筋は、きちんと考えてから行動している、ということだ。
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