「日本航空」問題は氷山の一角
伊藤元重(NIRA理事長、東京大学教授)
(VOICE 2009年10月31日掲載) 2009年11月8日(日)配信
日本航空の経営問題で日本の航空業界が揺れている。日本航空の経営問題はここ数年ずっと続いてきたものであり、同社の経営体質以外に日本の航空業界が直面している構造問題も深く関わっているようだ。
航空業界は世界的な規模で破綻や再編を繰り返している。米国の大手航空会社はそのほとんどが倒産を経験したことがあるといっても過言ではない。欧州でもいくつかの航空会社が破綻し、他の航空会社に吸収されたりしている。そしてこうした動きの結果、再編が進みつつある。
日本航空の問題は、日本の航空行政の在り方とも深く関わっている。世界の空は大きく変化しつつある。日本もそうした変化に対応しなくてはいけないが、残念ながらその対応のスピードは非常に遅い。ただ、日本の変化のスピードを速めようとすれば、日本航空の経営にも大きな影響が及びかねないのだ。
世界の空ではオープンスカイという自由化の動きが進んでいる。オープンスカイとは、互いの空港の空きがあるかぎり、航空会社の路線開設を自由に認めていこうというものだ。米国と欧州はすでにオープンスカイ協定を結んでいるし、アジアでも日本や中国を除いたほとんどの国が米国とオープンスカイ協定を結んでいる。日本だけがこうした流れから遅れている状況だ。
オープンスカイをとっていけば、海外の航空会社との競争が激しくなる。とりわけLCC(ローコストキャリア)と呼ばれる低料金の航空会社の参入が予想される。混雑が続く成田や羽田にLCCが入ってくることはすぐには考えにくいとしても、関西国際空港や中部国際空港などにLCCが入ってくれば日本の航空会社は少なからず影響を受ける。ただ、国民の利便性が増し、経済活性化にはプラスに働くはずだ。
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