野村証券インサイダー事件
インチキで分かった“外国人部隊”偏重の危うさ
2008年4月30日(水)0時0分配信 読売ウイークリー
掲載: 読売ウイークリー 2008年5月11-18日合併号
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記者会見で頭を下げる野村証券の渡部社長(22日夜、野村証券本社で)=中村光一 撮影 [拡大]
「現時点で知り得る範囲では、個人の犯行だ」
中国籍の元社員・レイ瑜容疑者(30=レイはガンダレに「萬」) ら3人が金融商品取引法違反容疑で逮捕されたのを受け、4月22日夜記者会見した渡部賢一・野村証券社長はこう強調した。しかし、M&A業務など企業の機密情報が集まる中枢部門「企業情報部」の社員による犯行であるうえ、情報管理の甘さがインサイダー取引に利用されたことも明らかになっており、企業責任は免れ得ない。
ただ、事件が野村の経営に与える影響となると、大方は「限定的」との見方だ。一部の企業で野村へ売買発注を中止する動きもあるが、ある市場関係者は、
「野村の実績からして、社内処分を発表すれば元に戻る」
と見る。また、野村に行政処分がなされる可能性について、株式評論家の吉見俊彦さんは、
「過去の事例から見ても、せいぜい企業情報部に1週間の一部業務停止命令を出す程度」
と指摘する。
野村が最も恐れるのは、インサイダー取引に利用された21件のM&A案件が、レイ容疑者らの不正によって影響を受けていた場合だ。レイ容疑者らが株を買ったために株価が上がり取引がつぶれていた、あるいは買収資金が増えていたとなれば、顧客企業への損害賠償や信用失墜につながりかねない。しかし、株式市場に詳しい中川秀宣弁護士は、
「レイ容疑者らが得た利益は総額4000万円程度で、株価に大きな影響を与える額とは思えない。また、日本の業界最大手の不祥事とはいえ、インサイダー自体は海外でも多発しており、事件が外国投資家の『日本売り』につながることもないでしょう」
と分析する。
