授業料返さず踏み倒し!
NOVA猿橋元社長の止まらぬ高笑い
2008年7月2日(水)0時0分配信 読売ウイークリー
掲載: 読売ウイークリー 2008年7月13日号
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大阪地検に送検される猿橋容疑者。皮肉にもこれが1年ぶりに公に見せた姿だった(25日午後)=里見 研 撮影 [拡大]
経営破たんした英会話学校NOVA元社長の猿橋望容疑者(56)が業務上横領容疑で逮捕された。絶頂期には“カリスマ”と称されたワンマン経営者は、生徒らが前払いした564億円にも上る授業料を踏み倒したまま。にもかかわらず、私財を温存している可能性があるというから、もうあきれるほかない。(本誌 山本 航)
逮捕当日の6月24日朝。猿橋容疑者は大阪市内のホテルから、捜査員の元へ出向いた。昨年6月に経産省の業務停止命令を受け、記者会見して以降、1年間にわたり複数の高級ホテルをねぐらに雲隠れしていたのとは打って変わり、堂々とした行動だった。
大阪府警の発表などによると、猿橋容疑者は昨年7月20日に側近の村田利彦容疑者(49)と共謀し、NOVA社員の互助組織の積立金約3億2000万円を関連会社「ノヴァ企画」の口座に振り込ませて横領した疑いが持たれている。
当時のNOVAは業務停止命令の影響で解約した生徒から多額の授業料返金を求められており、この金はその返還に使われたとみられている。猿橋容疑者は逮捕直前、代理人の弁護士を通して出した報道関係者向けのコメントで、自らの行動をこう正当化した。
「私は会社の資金を1円たりとも私的に流用したことはなく、会社のために使った」
泣きを見た生徒や従業員
しかし、猿橋容疑者は横領に手を染めた当時、現金や不動産など数億円の個人資産を持っていたことが府警の調べで明らかになった。さらに、猿橋容疑者がNOVAから、2005年から06年にかけて4億円以上の所得を得ていたことを破産管財人に暴露された。
こうした事実がある以上、生徒や社員、外国人講師らにしてみれば、前出の身勝手なコメントを素直に受け止めることは到底できないだろう。
猿橋容疑者が創業したNOVA本体の資産は尽きかけている。破産管財人の報告書によると、NOVAに残っている資産は30億円。だが、税金の滞納額が25億円もあるうえ、社員や講師らへの未払い賃金などが60億円にも上っている。これらの支払いが優先されるために、生徒の前払い授業料を払い戻すのは極めて困難という。生徒への優遇措置といえば、昨年11月にNOVAの英会話事業を引き継いだジー・コミュニケーション(名古屋市)の授業を割引で受けられることだけ。割引といっても、新たに25%の追加授業料を払わなければならないのだ。 ジー社はこうした“恩恵”も手伝って、現在の受講生約8万人のうち、旧NOVA生が9割を占めるなど囲い込みに成功。引き継ぎ当時は1年程度赤字が続くという見通しもあったが、4月には単月で黒字を達成した。9月にはタイのバンコクで日本語教室を展開する計画もあり、来年3月末には現在の300教室から「1000教室、生徒20万人」という、破たん前のNOVAの規模に回復させることが目標だ。
ただ、都内の教室に通う会社員の男性(26)は、本心からは納得していないという。
「金を無駄にしたくないから授業を受けに行くけど、僕たち生徒はまるで人質のような感じですね」
社員や講師らの多くも失業という悲劇に見舞われた。未払い賃金の一部については、NOVAに代わって独立行政法人の労働者健康福祉機構が立て替えているが、「受け取ることができた人も本来の8割止まり」(元社員)という。特に社員は、猿橋容疑者が会社の危機に際して雲隠れを続けるなかで、矢面に立って生徒らへの対応など業務に忙殺された。理不尽な目に遭わされた元社員らの猿橋容疑者に対する評価は地に落ち、今では公然と「サル」呼ばわりするほどだ。
