高倍率の菊池を避け、地元の筒香指名を決めた横浜。尾花新政権の課題は、投手力強化のはずだが… [ 拡大 ]
29日に開催される注目のドラフト会議。「20年に一人」の逸材、花巻東・菊池雄星投手(18)の1位指名から降りる球団が出始めた。史上最多となる競合必至の状況だから無理もない。楽天、日本ハム、ロッテ、阪神、中日、ヤクルトが菊池の1位指名を表明している一方、27日には横浜が地元の横浜高・筒香嘉智(つつごう・よしとも)内野手(17)の1位指名を決めた。
横浜はこの日、横浜市内の球団事務所で編成会議を開き、終了後に堀井チーフスカウトが筒香を指名することを発表した。筒香は高校通算69本塁打のスラッガーだが、必ずしもスンナリと菊池指名から降りたワケではない。というのは、2年連続最下位の横浜は、打線にはWBC日本代表でもあった村田、内川ら役者がいるが、今季のセで唯一チーム防御率が4点台(4.36)の投手陣こそ補強ポイントだからだ。
堀井チーフも「1月のスカウト会議からピッチャー中心(の補強)ということでやってきた。菊池君を断念しなくてはならないのは残念ではある。ウチの補強ポイントは、誰にいわせても『ピッチャーでしょ』といわれる」と認める。
横浜では今月9日の臨時株主総会と取締役会で新たに選出されたばかりの加地隆雄球団社長が「地元横浜密着」を掲げ、「(筒香を)ぜひ取りたい。横浜高校出身で横浜ベイスターズとなれば素晴らしい。ぜひ入ってほしい」とぶち上げた。新体制の方針が優先された格好である。
来季監督として巨人・尾花投手総合コーチを招へいすることが確実となっているだけに、「尾花さんの若手投手育成手腕を見込んでの招へいなのだろうが、そこでいきなりNo.1投手指名回避というのはいかがなものか。尾花さんが名伯楽だとしても、素材がないのでは…」(横浜OB)と、船出前から“尾花ベイスターズ”の前途多難を懸念する声まで挙がった。
菊池に対しては、今月16、17日の面談で巨人、広島が指名回避を伝えており、これで3球団が消えた。史上最多の8球団指名(1989年の野茂英雄、90年の小池秀郎)を超える可能性は残っている一方で、未曾有の高倍率を嫌って他の選手へ乗りかえる球団が相次いでもおかしくない。
横浜がいち早く「筒香指名」を公表した狙いもそこにある。誠意、熱意をアピールすることで、他球団が“後出し”で筒香指名に加わりにくい状況をつくり、あわよくば1本釣り−というワケ。各球団の駆け引きは指名直前まで続く。(宮脇広久)