今年のドラフトの話題を独占した155キロ左腕の花巻東・菊池雄星は、どういう怪物になるのか。松坂大輔(西武→レッドソックス)の系列か、それともダルビッシュ有(日本ハム)の流れをくむのか。
「ピッチングフォームを見ても理想的で、大きな欠点がない。即戦力になるのは間違いないだろう。1年目から二ケタ勝てる」。辛口の多い球界OBたちが、こう菊池を絶賛、さらに続ける。「10年に1人、いや左腕ということを考えたら、20年に1人の逸材だと断言してもいい」と。最近の日本プロ野球界で怪物投手と呼ばれているのは、西武・松坂、日本ハム・ダルビッシュの2人だ。が、ルーキーイヤーは対照的だ。
松坂はいきなり16勝(完投6)5敗の成績をあげ、最多勝のタイトルと新人王をダブル受賞。2年目のジンクスとも無縁で14勝(完投6)7敗、3年目も15勝(完投12)15敗を記録して3年連続の最多勝に輝いている。4年目に故障もあって初めて一ケタの6勝(完投2)2敗に終わっているが、1年だけですぐに復活。5年目以降は16勝(完投8)7敗、10勝(完投10)6敗、14勝(完投15)13敗、17勝(完投13)5敗と、怪物投手の名にふさわしい数字を残している。2003年に2.83、04年にも2.90で2年連続の最優秀防御率のタイトルも取っている。そして、ポスティングで07年にレッドソックスに移籍している。
ダルビッシュの方は、プロ入り1年目の05年は5勝5敗という平凡なスタートだ。が、2年目に倍増以上の12勝(5敗)をあげ、3年目以降に怪物の真価を披露している。07年が15勝5敗、完投12、防御率1.82。08年も16勝4敗、完投10、防御率1.88。今季もケガに悩みながら15勝5敗、完投8。防御率は驚異的な3年連続1点台という1.73で初の最優秀防御率賞。さらに勝率7割5分でこれまた初の最優秀投手賞まで手にして2冠だ。
コントロールに多少難があるために負け数も少なくないが、抜群の球威とスタミナが最大の武器。1年目から勝ち星を積み上げていったのが怪物・松坂だ。対照的にダルビッシュは1年間の充電期間を経て、球威だけでなく、コントロールも完璧に身につけ、負けない怪物投手ぶりを発揮している。「いくら勝っても負け星が多かったら、価値が低下する。ダルビッシュのように、勝ち星と負け星の差が二ケタある投手が本当のエースだ」。球界関係者がこう絶賛する。
さて、菊池は松坂タイプか、それともダルビッシュの系列の怪物になるのか。「1年目から二ケタ勝利は間違いない」という球界OBたちのお墨付き通りなら松坂の方だが、どうなるか。と同時に、楽天・田中将大との競争も注目される。プロ入り1年目に11勝7敗で新人王を獲得、昨年9勝7敗に止まったが、3年目の今季は15勝6敗と飛躍。菊池より一足先に2人の後を追っているのが、“神の子”田中だからだ。
松坂、ダルビッシュ、田中。3人の怪物のあとを追う菊池。どんな活躍を見せるか、興味津々だ。(夕刊フジ編集委員・江尻良文)