日本一奪回へ自信満々に見得を切る(?)原監督 [ 拡大 ]
あの伝説のシリーズがよみがえる? 今年の日本シリーズは巨人と日本ハムの対決だが、日本ハム首脳陣は梨田昌孝監督(56)はじめ、今はなき近鉄の名残をとどめる顔ぶれ。一度も日本一になれなかった近鉄は、1989年の日本シリーズで3連勝後に4連敗の悪夢も経験。くしくも当時、敵の主砲は巨人・原辰徳監督(51)だった。猛牛のトラウマがうずくか、それとも20年越しのリベンジか。
およそ1年前、火中のクリを拾ってWBC日本代表監督に就任して以来、原監督には追い風が吹き続けている。直後のドラフトの抽選で初めて当たりくじを引き、高校の後輩の大田獲りに成功。今年3月にはWBCで世界一に輝き、開幕後も不倶戴天の落合中日に大きく勝ち越して独走のリーグ3連覇を果たした。先日のクライマックスシリーズでも再び中日を返り討ち。この日本シリーズで7年ぶりに日本一を奪回すれば、栄光に彩られた1年が完結をみる。
30日に札幌ドームで行われた公式会見でも、原監督は「いよいよ決戦の場についた。徐々に気持ちの高ぶりを感じている」と気合十分。「ファイターズと“胸と胸を付き合わせた勝負”をしたい」と十八番のフレーズも出た。日本ハムの印象を「まさにファイターズという名の通り、いろんな意味でファイトをむきだしにするチーム」と、これまた独特の言い回しをふんだんに披露し、テンションは上がりっぱなしだ。
一方、両チームの首脳陣が顔を合わせた監督会議では、日本ハム・吉井投手コーチを“目力(めぢから)”で圧倒した。吉井コーチは「原さんはカッコええなあ。やたらと目が合った」とアイドルの追っかけのように語り、「オレ、満塁ホームラン打たれてるんだよなあ。(原監督は)覚えてるかなあ」と過去の対決に思いをはせた。
思い出の舞台は89年の日本シリーズ。近鉄が巨人に3連勝して王手をかけた試合後、近鉄・加藤投手が「巨人は(同年パ・リーグ最下位の)ロッテより弱い」と豪語したと報じられ、闘志に火がついた巨人がここから驚異の4連勝で逆転Vを飾った。
がけっぷちの第4戦で巨人が一矢報いると、続く第5戦も巨人の1点リードで進み、7回にも近鉄の守護神・吉井を攻めて2死一、三塁のチャンスをつくる。ここで吉井は4番クロマティを敬遠し、シリーズ18打席無安打で5番に下げられていた原と勝負。だが屈辱に燃えた原は怒りのグランドスラムを決め、勝負の流れは大きく巨人に傾いたのだった。
ちなみに日本ハムの三塁コーチ務める、真喜志内野守備走塁コーチも当時、近鉄の主力として涙をのんでいる。
梨田監督は近鉄で長く正捕手を務めたが、この前年に現役を退いていた。だが近鉄日本一の最後のチャンスとなった、01年の日本シリーズでは敗軍の将に。この日の公式会見では「近鉄は球団がなくなって、唯一日本一になっていない。OBの分も引き継いだ気持ちでやりたい」と、近鉄の遺志をも背負って戦う覚悟を示した。
一方の巨人の首脳陣には、あの20年前に歓喜を味わった面々がズラリ。今こそ“いてまえ”のDNAを引き継ぐ日本ハム打線が、大阪の敵を札幌で討つときだろう。
(笹森倫)