FileMakerトップに聞く――システムの柔軟性がユーザーニーズを実現する
2009年11月2日(月)8時0分配信 ITmediaエンタープライズ
米国FileMaker社長、ドミニーク・グピール氏,写真:ITmedia [ 拡大 ]
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このカンファレンスのため来日した、米国FileMaker社長のドミニーク・グピール氏と、システムエンジニアリング・マネジャーのアンドリュー・ルケイツ氏に、FileMakerの現状の位置付けと今後の展開を聞いた。
●エンタープライズでもデスクトップでもない、ワークグループのためのITツール
――FileMakerという製品をどのように位置付けているか。
グピール わたしがFileMakerの社長になった11年前、FileMakerの存在を確立するため、OracleやSQL Serverなどエンタープライズ向けRDBとExcelやAccessなどのデスクトップアプリケーションのギャップを埋めることを考えました。
FileMakerは、トランザクションを処理するようなハイエンドRDBとも、デスクトップアプリケーションのワークシートととも異なる、ナレッジワーカーが持つ価値ある情報を共有するためのビジネス用DBです。ハイエンドRDBやデスクトップアプリケーションと競合するものではなく、むしろこれらを補完するものと捉えています。
――FileMakerにはユーザー自身による開発例がよく見受けられるが。
グピール テクノロジーの選択肢が増える一方で、IT予算やIT部門の人員が増加されるケースは少なくなっています。その結果、IT部門の業務が過密化しているという現状があります。IT部門では財務会計や生産管理、SCMといったミッションクリティカルな基幹システムやインフラを担当するのが精一杯で社内の細かなITニーズにまでなかなか手が回りません。
一方、エンドユーザー側には、現場の生産性を向上させたいというニーズがあります。これらニーズすべてにIT部門が携わることは困難であり、ユーザー部門が自らの手で作り上げていかざるを得ません。また、ユーザー部門は業務を熟知しており、その意味でも、ユーザー自身がシステムを作ることの意義があるといえるでしょう。
ルケイツ ITには、戦略的なものと戦術的なものの両方があります。IT部門が手掛けるべきは、全社規模で使われる強固なシステムなどの戦略的な分野。ユーザー部門が求めるのは、部門レベルで迅速な対応が求められる戦術的な分野。FileMakerは戦術的なツールでありつつも、戦略的な分野に繋げられるのが特徴です。
「FileMakerはIT部門の仕事を奪っている」などと言われることもありますが(笑)、決してそうではありません。むしろ、ビジネス要件を熟知しているユーザー部門が開発の中心になることで、IT部門は効率的にシステムを構築できるのです。
●柔軟性の高いDBが、スピード感あるビジネスを支える
――FileMakerが特に役立つ用途としては、どのようなケースが考えられるか。
ルケイツ ものすごく急ぎで開発しなければならないケース、迅速なレスポンスが要求される場面で大いに役立ちます。わたしが携わった例で、あるソフトドリンク会社が開催した、ホスピタリティをテーマとした大掛かりなイベントを開催し、1万人あまりの客を招いたことがありました。このときはゲストを会場に連れてくる空港のリムジンの手配から、ゴルフコースやコンサートチケットの予約など、とにかく迅速にリポートすることが求められたのです。これらの情報をFileMakerで管理した結果、1時間以内に提出できました。
グピール スケーラビリティでいえば、FileMakerはOracleなどに敵うものではありませんが、このように迅速な開発には適しています。
FileMakerが登場した約20年前、システム開発といえば緻密な要件定義から入るウォーターフォールモデルの開発が基本でした。しかし今は、思いついたとき迅速にスタートし、その後にも必要に応じて要件を追加していきたいというニーズが増えてきています。ビジネスの世界も、スピードこそ競争優位という時代です。開発スピードは、システムの柔軟性と表裏一体。FileMakerがこれほどの顧客を獲得できたのも、ユーザーの「これができないか」という要望をすぐ実現できる柔軟性の高いDBであるからこそ、と考えています。
●機能と使い勝手のバランス、そしてユーザーの声を大切に
――近年、FileMakerは大幅に機能が強化され、一部のユーザーからは「バージョンアップすると機能が増えて難しくなっていく」という声も聞かれるが。
グピール 確かに、高度な機能を盛り込んでいくと複雑化しがちなものです。我々としては、その高度な機能をできるだけ簡単に使えるよう努力を重ねています。このバランスを保つのは難しいことですが、今後も製品を気軽に使ってもらえるよう、使い勝手の向上に取り組んでいくつもりです。
――今回のカンファレンスの手応えは。
グピール FileMakerとして、このような大規模イベントを日本で開催するのは初のことですが、500人近い参加者があったこともあり、非常に有意義でした。また、参加者の声を聞くと、満足度も高いように感じられます。ユーザーのためのカンファレンスなので、気に入ってもらえることが一番です。また、ユーザーの生の声を聴く機会を得てFileMakerに対する情熱なども強く実感しました。できれば今後も年に一度、このようなイベントを開催していきたいと考えています。