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情報システム

クラウドの選択はセキュリティ対策がカギに?

2009年11月4日(水)9時30分配信 ITmediaエンタープライズ

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クラウドコンピューティングの利点。有効回答数は419件。出典:ITmedia リサーチインタラクティブ/ITR(2009年9月),写真:ITmedia [ 拡大 ]

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 必要に応じて迅速にサービスを導入でき、また不要になればすぐに利用を終えることができる。自社でIT資産を持たずに済み、初期コストを抑え、運用体制も社内には不要――クラウドコンピューティングには、さまざまなメリットが喧伝されている。

 「バズワードではないか」といった冷めた見方もあるが、クラウドコンピューティングの認知度は非常に高まっており、採用例も増えはじめているのが現状だ。とはいえ、クラウドサービスに対して、セキュリティをはじめとする不安感を抱く企業も少なくない。

●不安材料がないわけではないが、メリットも少なくない

 クラウドコンピューティングに対する企業の動向に関しては、この9月に調査会社のアイ・ティ・アールとITmediaエンタープライズ編集部が実施した調査の結果からも、その現状と将来像が読み取れる。詳しくは解説記事に譲るが、クラウドコンピューティングの認知度は95%近く、利用や利用に向けた検討を進めている企業も全体の半数超と、着実に普及しつつあることは間違いない。

 では、クラウドコンピューティングに対して、企業はどのような考えを持っているのだろうか。

 クラウドコンピューティングの利点としては、多い順に「自社で資産を持つ必要がない」「サービス開始までの時間が短い」「初期コストが低い」といった回答が挙げられている。前述の用途に対する質問では、「プロジェクト管理」「R&D」といった企業間連携の多い用途や、「システム開発」といった流動性の高い用途も少なからず回答として挙げられており、迅速かつ低コストにシステムを利用開始できるというクラウドサービスの利点を考慮しているとみられる。

 特に、「自社で資産を持つ必要がない」ということは、運用も自社で行う必要がなく、初期コストの安さと合わせてトータルのコストを安く抑えられる可能性が高いことを示している。

 一方、自社外のサービスを利用することに対し、不安を感じるという回答は、「大いにある」「ある」合わせて75%あまりに上る。具体的な不安点としては「社外サービスのセキュリティレベルが分からない」がトップで、次いで「自社以外のデータセンターに自社情報を保管すること」が挙げられている。やはり自社の外にデータを出したくないという情報セキュリティ感覚は、非情に強いといえよう。

 また、セキュリティに次ぐ要因として、システム障害時の対応や、事業者の都合による事業停止など、サービスレベルに関連する要因も挙げられている。社内で管理しているシステムとは違い、サービスレベルは事業者次第。それを許容できるかどうかも、外部サービスを利用できるかどうかに関わってくる。

 ちなみに、システム障害についての質問に対しては、「システム障害が発生することを見越してサービスを選択すべきである」という回答が半数を上回っていた。また、「クラウドコンピューティングとオンプレミスではサービスレベル(可用性や停止時間など)の考え方を変えるべきである、という意見があるが、それについてどう思うか」という質問に対しても、「その通りだと思う」という回答が半数近くに上っている。

 これらの回答を総合すると、クラウドコンピューティングのサービスレベルは、セキュリティほど重要視されていないということができそうだ。個人的にインターネット上のサービスを利用している経験から、多少のシステム停止には慣れているといったところだろうか。

 情報システム部門の業務に対するクラウドコンピューティング利用の影響についての質問では、「コア業務に集中できる」とする回答が1位であった。多くの回答者が、非コア業務分野でクラウドコンピューティングを利用することで、コア業務に集中したいと考えているのである。

 全体を通じてみると、いくつかの不安要因もあるものの、クラウドサービスを利用することで得られるメリットも少なくない、といった考えが主流であるようだ。

●中堅中小企業に適したクラウドのスタイルは?

 「クラウドコンピューティング」として定義されるサービスは多彩だが、その範囲は、ASPやSaaS(Software as a Service)などのサービスとも部分的には重なっている。ASPやSaaSの延長線上である「パブリッククラウド」、すなわち多くの企業が共通のサービスを利用するという形態のサービスでは、いわゆる情報系システムに多い。普及の足掛かりとなっているのは、こうしたサービスであろう。情報系システムは、これまでもASP形態のサービスが広く利用されていた分野であり、すでに利用経験があったり、サービス自体の実績が多いこと、また利用シーンがイメージしやすいこと、などの理由が考えられるだろう。しかし、パブリッククラウドでは、セキュリティが特に顕著な不安となっているのもまた事実である。

 今後、クラウドコンピューティングの利用範囲は基幹系システムへと進んでいくことだろう。例えば財務会計、給与、販売管理といった、ERPのコンポーネントとなるようなシステムも、クラウドを活用することでユーザー企業にメリットがあるはずだ。当然ながら、情報系より基幹系の方が、セキュリティの課題はより大きなものとなってくる。

 中堅中小(SMB)といわれる規模を持つ企業であれば、グループ企業を含めた企業内に限定したクラウドサービスを自社で構築・運用する「プライベートクラウド」を選択することで、自社のセキュリティポリシーに準拠したクラウドコンピューティング環境が容易に得られる。プライベートクラウドも、既存技術でいえばSOA(サービス指向アーキテクチャ)やサーバ仮想化技術などの延長線上にある考え方であり、やはり同様に、こうした技術に取り組んできた企業にとって、手の届きやすいところにあるといえよう。実際、調査結果でも、売上規模の大きな企業の方がクラウドコンピューティングの利用に前向きな姿勢を見せている。

 一方、自社でクラウドコンピューティング環境を構築するほどの規模でない企業は、どのようなサービスを選ぶのが得策となるだろうか。

 すでにホスティングサービスなどで、「共用サーバ」と「専用サーバ」の選択肢があることを思い出してほしい。他社と同じサーバを利用するより、専用サーバを利用した方が、セキュリティ面などで有利な内容となる。同様に、ある程度はユーザー企業ごとに分離をするような内容のクラウドサービスであれば、通常のパブリッククラウドよりセキュリティレベルは高まるはず。

 近年、サーバやストレージ、ネットワークなどの仮想化技術が発達した結果、物理的には同一インフラ上にあっても、ほぼ完全なユーザー企業の分離が技術的には可能となっている。このような技術を駆使した「パブリック的なプライベートクラウド」サービスであれば、セキュリティレベルやサービスレベルの面でも、不安を軽減できるのではないだろうか。【岡田靖】








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