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情報システム

普及に弾みがつくIPTV、利用拡大へ向けた次の一手は?

2009年11月6日(金)11時44分配信 ITmediaエンタープライズ

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MM総研の中島氏,写真:ITmedia [ 拡大 ]

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 次世代通信サービスの1つとして、IPインフラを利用した映像配信サービス「IPTV」の加入者が増えつつあるという。このほど開催されたNTTコミュニケーションズ(NTT com)のユーザーイベント「NTT Communications Forum 2009」では、NTTぷららが提供する「ひかりTV」サービスを例に、NTT comの有馬彰副社長とMM総研の中島洋所長がIPTVの利用拡大に向けた可能性について意見を交わした。

●デジタル放送が追い風に

 セッションの冒頭では有馬氏がひかりTVの現状を紹介した。ひかりTVは2008年3月にNTT東西のフレッツ光のユーザー向けにスタート。多チャンネル放送およびビデオ・オン・デマンドなどのサービスを対応するテレビやPCで利用できる(利用形態は回線サービスや地域で一部異なる)。加入世帯数は2009年3月末の約55万世帯から9月末には76万世帯に拡大し、2010年3月末に110万世帯の加入を見込んでいる。

 有馬氏は、ひかりTVが順調に加入ペースを増やしているとみており、その背景には地上デジタル放送の再送信と高精細(HD)画質への期待、業界団体の一つである「IPTVフォーラム」の技術仕様に対応した汎用性などがあると説明した。

 地上デジタル放送の再送信は、特にビル影の多い都市部や人口密度の低い地方における難視聴対策として、ケーブルテレビ(CATV)やIPTVの活用が注目されている。CATVやIPTVは広帯域の伝送路を持つことから、大容量となるデジタル放送のHD映像や多チャンネル番組の送信に適している。ひかりTVに対応した受信機もNECや東芝、シャープから発売され、IPTVはさまざまな視聴環境に適応できる点も特徴だという。

 有馬氏は、「光ファイバとIPを利用して通信効率を高めており、CATVなどに比べても価格競争力がある」と話した。

映像をビジネスに

 中島氏はマルチメディアサービスの現状について、現在は大容量ネットワークを活用していく第3段階にあると述べた。第1段階は情報のデジタル化、第2段階はPCや携帯電話によるインターネットの普及だったという。

 同氏は、「大容量ネットワークの活用はクラウドコンピューティングの普及と同じように、コスト削減のメリットを提供する」と指摘する。その一例が企業におけるビデオ会議の利用拡大であり、大容量ネットワークの普及が臨場感のある映像コミュニケーションが可能にしたという。ビデオ会議をSaaS(サービスとしてのソフトウェア)として提供する企業もあり、企業では物理的な移動がなくなることで、交通費などのコストとCO2排出の削減というメリットを得られるようになった。

 マルチメディアサービスでは、従来から電話とインターネット、映像配信を1つのネットワークインフラ上で提供する「トリプルプレイ」が注目され、通信事業者やCATVなどが競争を続けきた。中島氏は、「現状では通信事業者が完成度の高いサービスを実現しているようだ」と分析。当初はトリプルプレイの主役になるとみられたCATVの普及率が思うように伸びず、放送と通信の融合を狙った放送事業者側も通信機能を生かすコンテンツを提供できていないと指摘する。

 中島氏は、電話サービスを源流に持つ通信事業者のIPTVがインターネットや映像配信を取り込んだ理想的なトリプルプレイのプラットフォームになりつつあるとみている。さらには、テレビや新聞、雑誌などの既存のマス媒体に対する広告費が減少する一方で、ネットワークサービスへの広告費が伸びている点も追い風になるという。

 「企業自体のメディア化も進んでおり、新商品の発表を自社サイトで中継するといった取り組みが積極的に行われている。しかし自社サイトだけでは集客に限界があり、IPTVがポータルのような機能を果たす可能性もある」(同氏)

利用拡大に向けた課題

 一見するとIPTVは理想的なプラットフォームに見られがちだが、利用拡大にはまだまだ課題も多いと中島氏は指摘する。「機能が多すぎてユーザーに抵抗感を持たれてしまうかもしれない。Web 2.0のようなユーザー参加型のサービスをIPTVでどのように実現していくか、また、インターネットの技術革新の早さにIPTVが追従できるかも重要」(同氏)

 有馬氏も、これらに課題を解決していかなければIPTVの利用拡大にはつながらないとの見方を示した。現状ではさらなる多チャンネル化や、録画機能を内蔵したセットトップボックスの開発、対応受信機の拡充といった視聴環境の広がりに注力しているといい、サービス開発や企業での具体的な利用シーンが将来的は取り組みになると説明した。

 「今の中心となるサービスはこれまでのテレビ放送や映像配信サービスと同様だが、ユーザーが作り上げた映像作品をほかのユーザーと共有できるサービスなど、双方向性の高いサービスを投入することでユーザー層を広げたい」(有馬氏)

 企業利用での拡大は長期的な課題としつつも、難視聴地域にある学校へ映像を配信する実証実験などの取り組みを幾つか進めているという。有馬氏は、「まだ具体策を用意できるという段階ではないが、IPTVが持つさまざまな可能性を着実に具現化していく」と締めくくった。【國谷武史】








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