“宇宙頭痛”、新しい宇宙病か
2009年6月5日(金)15時17分配信 ナショナルジオグラフィック
国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームに足を固定させ、地球のはるか上空を遊泳する宇宙飛行士のスティーブン・K・ロビンソン氏(2005年8月3日撮影)。 2009年6月に発表された研究によると、宇宙飛行経験者の多くが宇宙飛行中やISSの長期滞在中に頭が“爆発する”あるいは“異常に重くなる”ような頭痛を経験しているという。原因としては、無重力状態のために体液の流れに変化が生じることや、空調が悪い狭い空間に長時間いることなどが考えられるが、これまでに知られていない“宇宙病”の1つという可能性もあるようだ。Image from NASA/AP [ 拡大 ]
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今回の研究は学術的なアンケート調査に基づくもので、宇宙飛行経験者の多くが宇宙飛行中や国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在中に、頭が“爆発する”あるいは“異常に重くなる”ような頭痛を経験したと伝えている。
研究チームの一員でオランダにあるライデン大学医療センター(LUMC)のアラ・ヴェイン氏は、「このような感覚を引き起こす原因はまだ完全に解明できていないが、これまで疑いの濃かった宇宙酔い(宇宙動揺病)によるものではないことはわかった」と話す。
調査に匿名で協力した宇宙飛行士17人のうち、7割以上が宇宙飛行中に頭痛に悩まされたと述べている。また、そのような症状を経験した者の4分の3は、宇宙酔いによくみられる吐き気や実際の嘔吐(おうと)、目まいなどの症状はまったくなかったという。
今回の調査結果を基に、研究チームでは“宇宙頭痛”について、有人宇宙飛行で発症する疾患として新しく独立して分類すべきだと論じている。
カナダのオンタリオ州ハミルトンにあるマックマスター大学医療ロボット工学センターに勤務する元宇宙飛行士デイブ・ウィリアムズ氏も今回の研究に注目している。同氏は「Canadian Medical Association Journal」誌に先日掲載された共著論文で、人体の健康状態に対する宇宙旅行の長期的影響を指摘している。
ウィリアムズ氏は、「自分も含めて多くの宇宙飛行士が頭痛を経験しているが、おそらくさまざまな原因が絡み合っているのだろう」と話す。
可能性の1つには、顔が真ん丸にむくむ顔面浮腫(がんめんふしゅ)がある。これは地球上でも逆立ちを長時間続けた場合に似たような症状が現れる。「無重力空間では、通常であれば下肢にたまる体液が体内のほかの部位に移動してしまうからだ」と同氏は説明する。
また、空気循環が悪いこともひと役かっている可能性があるという。宇宙飛行士が宇宙船内で作業するとき、酸素を循環させる空調設備が十分でない区域に長時間滞在する場合がある。自分が吐いた二酸化炭素を再び吸い込むことになり、体内の二酸化炭素が過剰になってしまう。
ただし、ウィリアムズ氏は次のように付け加える。「もう1つ忘れてはならないのが、宇宙という特殊環境と頭痛の間に直接的な関係がないケースもあり得るという点だ。たまたま宇宙にいる間に頭痛が起きただけで、地上でも同じ原因で頭痛が発症していたのかもしれない」。
今回の最新研究は、今週発行の「Cephalalgia」誌に掲載されている。
Brian Handwerk for National Geographic News
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