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海外総合

アフリカの村を救う環境認証プログラム

2009年6月15日(月)17時14分配信 ナショナルジオグラフィック

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 バグパイプなどの木管楽器に珍重されるアフリカン・ブラックウッド(別名ムピンゴ)と、それを加工する現地の労働者(写真はタンザニア)。木材に関する新たな環境認証プログラムによって、タンザニアの2つの村に住む人々の生活が豊かになると期待されている。Photograph courtesy Mpingo Conservation Project [ 拡大 ]

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 アフリカ東部の国、タンザニアでは今、アフリカン・ブラックウッド(別名ムピンゴ)という広葉樹の保護活動が着実に進んでいる。ムピンゴはクラリネットやオーボエ、バグパイプなどの材料として珍重される樹木で、成長には長い年月を要する。そのムピンゴを採取、販売するにあたって、タンザニア奥地の2つの村が、適切な森林管理を推進する森林管理協議会(FSC)という国際NPOから認証を受けることになった。

 現在、森林管理協議会(FSC:Forest Stewardship Council)から認証を受けている世界の資源開発用の森林は、その大部分がより気温の低い温帯林や寒帯林に属しており、アフリカの地方自治体が認証を受けるのは今回が初めてである。

 ムピンゴ保護プロジェクトの調整役としてタンザニアで活動しているスティーブ・ボール氏はこう語る。「タンザニアの山村に暮らす人々にもようやく、地元の森林がもたらす利益を享受するチャンスが訪れた」。ボール氏はかつて、「国外の伐採業者が地元住民を搾取している」と話していた。

 心材部分がつややかで色に深みのあるアフリカン・ブラックウッドは、その質の良さに目をつけた木材業者らによってアフリカ全土で乱伐されてきた。中でも深刻な被害を受けたのがケニアとタンザニア北部である。現在ケニアには、木材として利用できるアフリカン・ブラックウッドは1本も残っていない。

 だが、タンザニア南東部やモザンビーク北部には、まだ多くのアフリカン・ブラックウッドが残っており、現在も伐採が盛んに行われている。しかも、タンザニアでは違法伐採が横行している。野生生物の取引を監視するNGO団体トラフィック(TRAFFIC)が2005年に公表した調査結果によると、タンザニア南部で採取された木材の96パーセントが違法伐採によるものだという。

 アフリカン・ブラックウッドは、タンザニアのマコンデ族が木像彫刻に好んで使う木材であり、古来さまざまな薬としても利用されてきた。マコンデ族の間では、生まれたばかりの赤ん坊をその葉で覆うと健康に育つと信じられている。

 だが、アフリカン・ブラックウッドの木質は密度が高い上、樹脂の含有量も多いことから、楽器の素材としての価値も非常に高い。例えばこの木を素材に使えば、演奏者の呼気に含まれる湿気に強く、音質低下がほとんどない木管楽器ができるという。

「市場での需要が高いことも乱伐の大きな要因だ」とボール氏は話す。「音楽家たちがこぞってアフリカン・ブラックウッド製の楽器を欲しがる以上、その楽器を作らない手はないだろう」。同氏によると、バグパイプの部品は全世界で毎年およそ1万個生産されているほか、世界中で製造されているクラリネットとオーボエの数を合わせると年間6万5000〜10万本に上るという。

 今回FSCの認証を受けることになった2つの村は、どちらもタンザニア南東部の沿岸地域に属するキルワ地区にある。人口はそれぞれ1000〜1500人足らずで、平均の世帯収入は1日約100円と非常に貧しい。

 キルワ地区でムピンゴ保護プロジェクトが始動したのは2004年だが、それ以前は、村の周辺にある森林伐採により業者が村に支払っていた対価は、切り出したアフリカン・ブラックウッドの丸太1本につきわずか8セントだった。そればかりか、これらの業者は、アフリカン・ブラックウッドの伐採権料として丸太1本につき約9ドル60セントをタンザニア政府に支払う必要があったにもかかわらず、その多くを踏み倒していたという。

 そんな中、政府の支援による新たなプログラムが始まり、各地方自治体は、森林を持続的に管理するという条件の下で森林の所有権を保有し、木材販売の利益を享受することができるようになったのである。

 ボール氏は次のように話す。「適切な森林管理が行われている」証明であるFSCのロゴマークを木材に記載することで、この2つの村は、アフリカン・ブラックウッド1本につき最大で約2000円の伐採権料を課すことが可能になった。市場が拡大していけば、伐採権料に加えて、付加価値に伴う収益も期待できるようになるだろう。FSC認証木材の価格は2倍程度まで上昇する可能性を秘めている」。

 このプロジェクトについて村長の1人も、「われわれは森をどのように管理すべきかについて多くを学ぶことができた」と語った。「幸いにも、この村にはムピンゴがまだ豊富にある。この機会を大いに生かすことができるだろう」。

 今春、初めてのアフリカン・ブラックウッドの切り出しが行われたが、切り出した木材は適度に乾燥させる必要があり、その工程を終えるまでに少なくとも1年はかかる。そのため、FSCの認証を受けたアフリカン・ブラックウッド製の楽器が世に出回るのは、2011年頃になるとみられている。

Stefan Lovgren for National Geographic News

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