「ダコタ」の皮膚、現生動物に近かった
2009年7月2日(木)18時16分配信 ナショナルジオグラフィック
アメリカ、ノースダコタ州のヘルクリーク累層から2007年に発見された恐竜の皮膚の化石。6600万年前のハドロサウルスのものとみられている。最新技術を用いたその後の分析から、ハドロサウルスの皮膚は鳥やワニの皮膚に近かったことが明らかになった。Photograph by Tyler Lyson, copyright NGS [ 拡大 ]
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最新技術を駆使して分析を行った結果、ハドロサウルスの皮膚は、ヒトなどの現生脊椎動物の皮膚と同じ二重層構造を持つことが明らかになった。イギリス、マンチェスター大学の古生物学者で、研究チームのリーダーを務めたフィリップ・マニング氏は、「恐竜の皮膚に関する研究成果としては最も核心に迫ったものだ」と話す。
恐竜の皮膚が比較的良い状態で残っていたのは、バクテリアによって組織が分解される前に化石化したためだという。「死後6600万年以上経過した動物の軟組織から有機分子を検出できるということは、ほとんど奇跡に近い。私の研究人生の中でも、10本指に入るほど重要な化石だ」とマニング氏は話す。今回の化石調査には、ナショナル ジオグラフィック探査協議会が一部資金援助を行っている。
1999年、アメリカのノースダコタ州で、当時まだ10代だったタイラー・ライソン少年が、化石化した恐竜のミイラを発見した。その後、全身の化石も見つかり、発掘地にちなんで「ダコタ」と命名された。
ダコタの大きさはカバと同程度だったとされる。死因は不明だが、死後短時間で土砂に埋まった可能性が高い。最新の研究によれば、ダコタがこれほどまでに良い状態で保存されたのは、周囲で低酸素状態が作り出されたことや、地殻変動がまったく起こらなかったためだという。
マニング氏は、電子顕微鏡やX線を用いてダコタの皮膚を観察し、それが表皮(表面の薄膜)と真皮(表皮の下にある結合組織)からなる二重構造を持つことを突き止めた。これは、ハドロサウルスと系統が近いとされる現生の鳥類や爬虫類の皮膚とまったく同じ構造である。
またマニング氏は、タンパク質復元技術を駆使して、皮膚やツメからタンパク質を構成するアミノ酸を検出した。タンパク質そのものは、時間の経過とともに分解されやすいためか今回は検出できなかったが、それでもマニング氏は、タンパク質が分解されてできたとみられる分子を検出することに成功した。
メリーランド大学で脊椎古生物の研究を行っているトーマス・ホルツ氏は、タンパク質復元技術を用いたマニング氏の試みを高く評価している。ホルツ氏によると、巨大な草食恐竜の皮膚について詳細な分析が行われたのはこれが初めてだという。
また、ダコタが現生脊椎動物と同じような皮膚を持っていたことについてホルツ氏は、「予想通りの結果だ」としながらも、「結論が出たことで今後の研究に弾みがつく」と話す。
マニング氏は、ダコタのような化石がどのような環境で形成されたのかが正確にわかれば、今後化石を採取する場所についての大きな判断材料となると話す。「これまでは希少だった恐竜のミイラ化石が、いたるところで発見されるようになるかもしれない」。
ホルツ氏も、ハドロサウルスを餌としていたティラノサウルスのミイラ化石が見つかる可能性すらあると指摘する。「ダコタが発見されたことで、骨ばかりに注目していた古生物学者たちも、研究すべき対象が他にもたくさんあることに気付いた。骨の観察に終始していては、古生物学上の発見をみすみす逃すことになるだろう」。
今回の研究結果は「Proceedings of the Royal Society B」誌の7月1日号に掲載されている。
Christine Dell'Amore National Geographic News
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