アステカ王国の王墓、ついに発見か
2009年7月14日(火)15時47分配信 ナショナルジオグラフィック
メキシコシティのテンプロ・マヨール遺跡にある石柱で作業する考古学者。 この場所はアステカ王の墓として初めての発見となる可能性があるが、最近、豪華な装飾が施された犬の骨格と未開封の石膏の封印が発掘されて、期待はさらに高まっている。2009年6月に研究チームが語った。Photograph courtesy Proyecto Templo Mayor, INAH [ 拡大 ]
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最近では封鎖された入り口付近で豪華な装飾が施された犬の骨格も発見され、期待が膨らんでいる。その犬の耳にはトルコ石のモザイク模様が入った木製の耳あてがあり、首にはグリーンストーン(翡翠の一種)のビーズの首飾り、4本の足は金の鈴で飾られていた。
だが、メキシコシティのテンプロ・マヨール博物館の上級研究員であるロペス・ルハン氏は、冷静で慎重な姿勢を崩さない。その骨格はメキシコオオカミのものである可能性もあるため、同氏のチームはDNA鑑定で特定する必要があると見ている。
「犬のものであれば葬送との関連性が浮上するため、非常に重要な発見となる。当時は犬が天国まで故人に付き添い、チクナフアパン(Chicnahuapan)という川を渡る手助けをすると考えられていたが、この骨格の犬がそれを証明してくれるかもしれない。チクナフアパンとは、あの世の最深部である9番目の階層につながる三途の川のようなものだ」と、ロペス・ルハン氏は話す。
アステカを含む古代メソアメリカ文明の多くで、犬は主人を死後の世界まで護衛すると考えられており、メソアメリカ人の遺骨の近くには犬の骨格が発見されることが多かったのである。
犬の骨格の近くでは石の箱も発見され、中にはイヌワシの骨や石器ナイフ、甲殻類の殻、コパル樹脂の丸剤などが納められていた。コパルは香料や薬、接着剤などさまざまな用途に使用されていたと考えられている。
最近の発掘では、石灰と砂でできた石膏の封印が無傷の状態で発見された。複数の封印があることから、仮にここが墓だとすれば、王と後継者を納めた共同の遺体安置所だと考えられる。
「要人の遺体を新しく納めるたびに、石膏の封印で入り口を封鎖したのだろう」と、ロペス・ルハン氏は推測している。
封印が解かれていないということは、墓荒らしにもあっていないことになる。封印の奥に王室の墓があるとすれば、石かセラミックの容器に入った統治者の遺灰や、使用人の遺骨に加え、個人の持ち物や葬儀の供え物なども新たに発見される可能性がある。
「この墓は、エジプトのツタンカーメン王の墓やホンジュラスにあるマヤ文明のコパン遺跡ほど大きくはないだろう。アステカ人は建築物にアーチ構造を使わなかったからだ。内部は供え物がたくさん納められた非常に小さな空間だと推測される」とロペス・ルハン氏は述べている。
期待は高まる一方だが、考古学者チームには忍耐強さが求められる。葬送の慣習や遺物を再構築するにはゆっくりとした丁寧な作業が欠かせないが、慎重に研究を進めれば、1500年代のスペイン人征服まで繁栄していたアステカ王国の政治・経済や宗教を解明できるだろう。
目下の所、問題は天候と地下水面の上昇による影響だ。「いまは雨季に入っているので、発掘は非常にゆっくりと進めなければならない」とロペス・ルハン氏は語っている。
Eliza Barclay for National Geographic News
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