今世紀最長の皆既日食を観測
2009年7月23日(木)15時55分配信 ナショナルジオグラフィック
7月22日の皆既日食で観測されたダイヤモンドリング現象。中国の杭州市に近い天荒坪(Tianhuangping)で、現地時間の午前9時33分に撮影された。Photograph courtesy Jay Pasachoff [ 拡大 ]
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国際天文学連合・皆既日食ワーキンググループで代表を務めるアメリカ・ウィリアムズ大学の天文学者ジェイ・パサコフ氏は、中国の杭州市に近い天荒坪(Tianhuangping)山中、標高約900メートル地点にあるホテルで観測を行った。同地には世界中から科学者や日食ウォッチャーが集結したという。
パサコフ氏は皆既日食の観測直後に、自身のブログに次のように書き込んでいる。「見えたよ! 雲がそこだけ薄くなって、5分の皆既時間に合わせたように晴れたんだ」。天荒坪では、アジア大陸最長の約5分半に及ぶ皆既日食を観測できた。
ナショナル ジオグラフィックニュースが事前に行ったインタビューで同氏は次のようにコメントしている。「科学的な観点で言えば、皆既の観測時間は5分強もあれば十分だ。太平洋上ならもっと長く観測できるだろうが、あまり長くても意味はない。天荒坪からの観測でも、必要なデータは得られるはずだ」。
身近な存在に感じる太陽だが、実はまだ解明されていない現象が多々ある。その1つが太陽の外側に数百万キロも広がる大気の層「コロナ」だ。太陽の表面である光球の温度は6000度ほどなのにコロナは100万度以上もあるとされており、パサコフ氏は日食研究を通じてこの謎を解き明かしたいと考えている。
「とにかく、なんらかのかたちでエネルギーが上昇してコロナを加熱していることは間違いない。知りたいのはその仕組みだ」と同氏は述べる。多くの科学者は太陽の磁場が関連していると考えており、パサコフ氏も現在、太陽からコロナへ移動する磁気波を特定しようと試みている。
通常、地上はおろか人工衛星の観測機器でもコロナの範囲を特定できない。太陽光自体が明るすぎるためだ。しかし唯一、月が太陽の光を遮る日食のときだけは、コロナの一定の観測を行うことができる。空が暗くなり、太陽の周りに広がるコロナの光が強調されるからだ。
太陽は月の約400倍の大きさがあるが、地球からの距離も約400倍あるため、地上から見た両者の大きさはほぼ同じになる。22日に天荒坪などで目撃された皆既日食という現象は、このような大きさと距離の奇跡的なバランスに基づいている。
パサコフ氏は観測直後に次のようなコメントを発表している。「うれしいことに、コロナ現象を余すところなく観測できた。ダイヤモンドリングも見事だった。厚く立ちこめていた雲も直前にはちょうど薄くなり、太陽観察用のフィルターなしでも部分食を観測できた」。ダイヤモンドリングとは、皆既日食の直前と直後に太陽の光が一カ所だけ漏れて輝き、ダイヤの指輪のように見える現象のことだ。
現地からのメールにはこうも綴られている。「観測機器はすべて問題なく機能した。1時間もすれば日食が完全に終わり、画像の調査を始められるだろう」。パサコフ氏は、ナショナル ジオグラフィック協会の研究・探査委員会(CRE)から資金提供を受けて研究活動を行っている。
Rebecca Carroll for National Geographic News
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