巨大クラゲが大量発生、日本襲来か?
2009年7月30日(木)17時1分配信 ナショナルジオグラフィック
エチゼンクラゲでいっぱいになった漁網が引き上げられている(2005年12月、岩手県沖で撮影)。2009年現在、中国の近海でこの危険なクラゲの幼体が大量発生しているという。近く大挙して日本近海に押し寄せる可能性があるため、専門家たちは警鐘を鳴らしている。Photograph courtesy Shin-ichi Uye, Hiroshima University [ 拡大 ]
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世界最大級のクラゲ「エチゼンクラゲ」は傘の直径2メートル、体重200キロにまで成長する。2005年にも海を埋め尽くすほど西日本沿岸に殺到したが、そのときは漁網が重さで破れたり、毒によって漁獲対象の魚介類が出荷不能になったりしたほか、負傷した漁師もいたという。
そして今回、エチゼンクラゲの産卵場所に初めて調査が入った。それによると2009年は2005年に匹敵する大襲来の恐れがあるという。
「現在、中国近海で幼体が大量発生しているという報告がある。黄海と東シナ海の生態系はエチゼンクラゲの繁殖に適している」と、広島大学で海洋生物学を研究している上真一教授は話す。
エチゼンクラゲの生態には不明な点が多いため、上教授率いる研究チームは、人工飼育した個体の習性や繁殖行動を詳しく調べている。その調査から、このクラゲは海中の小型動物性プランクトンを短時間で大量摂取していることが判明した。
また、健康な個体は摂食行動だけに全神経を集中して生きているため、生殖器官は産卵期に入っても成熟しないという。「だが生存に危機が迫ると、繁殖行動に専念するようになる」と上教授は解説する。
ここで大きな疑問が1つある。日本海への大襲来はなぜ年によって波があるのだろうか。「なんらかの環境的変化がその年の爆発的増加の引き金となっているのかもしれない」と、上教授は推測しているが、正確な原因はわかっていない。なぜ日本近海に頻繁に押し寄せるようになったのかも不明だ。
1900年代初頭、巨大クラゲの襲来は約40年に1度という極めて珍しい現象だったが、近年は驚くべきペースで発生しており、2002年から2007年まで毎年のように桁外れの大群が日本に押し寄せている。最近、クラゲの幼体を捕食する魚やウミガメなどの天敵が減少していることが原因ではないかとも言われている。
上教授は日本におけるエチゼンクラゲの大量発生は台風のようだと言う。発生を抑えることはできないものの、予測することは可能だからだ。その大量発生を正確に予測する方法を模索しているのが同教授率いる研究チーム。押し寄せるクラゲを何とかして欲しいと日本の漁業者は研究の成果に期待している。
Julian Ryall in Tokyo for National Geographic News
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