翼竜の翼に未知の繊維層を発見
2009年8月5日(水)18時33分配信 ナショナルジオグラフィック
中国で発見された1億3500万年前の翼竜の化石。太古の甲殻類や灰を多く含んだ頁岩(けつがん)層から見つかった。2009年8月に発表された研究によると、この翼竜には柔らかい細胞組織が非常に良い保存状態で残されているという。 また、翼を新たに分析した結果、複雑な構造をした特有の飛膜が認められ、現生動物の体毛とまったく異なる繊維で覆われていることも明らかになった。Photograph courtesy Alexander Kellner [ 拡大 ]
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共同研究者で、リオ・デ・ジャネイロにあるブラジル国立博物館の古生物学者アレキサンダー・ケルナー氏は次のように語る。「この繊維層のおかげで、滑空時に飛膜の微妙な調節が容易になっていたのかもしれない。飛行能力の向上に一役買っていたのだろう」。
この化石は保存状態が非常によく、体毛のような繊維も残されていたが、現生動物の体毛とはかなり異なることも明らかになった。翼竜に同様の繊維が認められたことは以前にもあったが、そのときは研究者たちも組織崩壊後の残存物だと考えていた。
今回の化石は胴体全体と翼の一部が、この体毛のような繊維で覆われていた。ケルナー氏は、「繊維が体温調節に役立っていた可能性もある」とも話している。
この翼竜はジェホロプテルス・ニンチェンジェンシス(Jeholopterus ninchengensis)という種で、2000年に内モンゴル自治区で発見された。出土したのは太古の甲殻類や灰を多く含んだ頁岩(けつがん)層の地層だ。頁岩の年代や含有物から、ジェホロプテルスはおよそ1億3500万年前の白亜紀に生きていたと推測されている。当時、この地域では火山活動が活発だったようだ。
この点についてケルナー氏は次のように述べている。「火山活動で空気が汚染されて大量の動物が死んだので、この辺りにこれほど多くの化石が残されたとも考えられる。ジェホロプテルスの頭蓋骨は幅広く、杭(くい)のような歯が生えているので昆虫をエサにしていたのかもしれない。ツメが長い鞘(さや)のような角質で覆われているところをみると、一生のある期間は木の上で過ごしていたのではないか」。
体長は30センチ、翼開長は90センチとマガモとほぼ同程度で、翼に残されていた飛膜は極めてよい保存状態だった。同氏は、「普通、死体の柔らかい細胞組織は腐って後に残らないので、死後間もなく埋もれたに違いない。川辺や湖の中だったのではないか」と話している。
以前の翼竜の研究では、翼の飛膜には翼竜に特有の密度の高い単層の繊維構造があるとされ、この繊維をアクチノフィブリル(actinofibril)と呼んでいた。この繊維は、翼を強化するために役立っている考えられていた。だが、ケルナー氏らの研究チームがジェホロプテルスの翼に紫外線を照射した結果、飛膜は少なくとも3層のアクチノフィブリルに覆われており、交差したパターンを描いていることがわかった。
ドイツのカールスルーエにある州立自然史博物館の古動物学者エベルハルト・フレイ氏は、「このような飛膜が報告されたのは初めてだ」とコメントしている。
フレイ氏とケルナー氏によれば、翼竜のアクチノフィブリルが何から出来ているかについては現在も研究が重ねられているという。それが解明されれば、この繊維が存在した目的も解明できるかもしれない。
「筋肉だったのか、コラーゲンなのか、ケラチンなのか。硬かったのか、柔軟性があったのか」とケルナー氏は話す。「いずれにせよ、今回の発見から、翼竜の翼がこれまで考えられていた以上に複雑なものであることがわかった」。
この研究成果は、「Proceedings of the Royal Society B」誌の8月5日号に掲載される。
Charles Q. Choi for National Geographic News
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