アメリカ紙幣の90%がコカイン汚染
2009年8月17日(月)14時33分配信 ナショナルジオグラフィック
-PR-
極めて信頼性の高いある調査によって、アメリカとカナダで流通している紙幣10枚のうち、実に9枚までがコカインに汚染されていることがわかった。
今回の調査の責任者でマサチューセッツ大学ダートマス校に所属するユエガン・ツオ(Yuegang Zuo)氏は、違法薬物であるコカインを服用するアメリカ人が増加傾向にあることにも着目している。同チームが行った2007年の調査でも同国の紙幣の67%がコカインに汚染されていることが判明していたが、今回の調査ではその割合が85〜95%と約2割も急増したのだ。
コカインは薬物取引の際に紙幣に付着したり、粉末を吸引するストロー代わりに丸められる際に紙幣に付着するという。
ツオ氏は電話インタビューで、「コカインは世界で最も普及している違法薬物の1つだが、世界的な金融危機によって増加したストレスが人々をコカイン乱用に駆り立てているのかもしれない」と語った。また、「この調査結果がきっかけとなって、コカイン乱用を抑制する動きが活性化することを期待したい」とメールで追記した。
ツオ氏は調査結果の信頼性には自信を持っている。その理由は新たに調査に使用された「ガスクロマトグラフ質量分析計」という装置にある。これを使えば紙幣を傷めずに残留成分を測定することができるため、大量の紙幣を検査しても破産する心配がない。
調査対象はブラジル、カナダ、アメリカ、中国、日本の紙幣だった。
アメリカは世界最大のコカイン市場である。国連の「2009年世界薬物報告書(2009 UN World Drug Report)」によると、同国で2007年度に違法薬物を1回以上服用した人の数は、実に580万人にものぼっていたという。つまり、アメリカとカナダで紙幣のコカイン含有率が最も高くても、さほど驚くには当たらないのである。
今回の調査では、アメリカの大小17カ所の都市で収集した234枚の紙幣のうち、約90%にコカインの痕跡が見つかった。特に、ボルティモア、ボストン、デトロイトなどの大都市でその割合は高かった。ワシントンD.C.では集められたドル紙幣のうち実に95%が汚染されており、コカインが紙の繊維にまで浸透していた。ちなみに95%は調査中で最高の数値だ。
一方で中国と日本の紙幣は汚染のレベルが比較的低く、コカイン服用率がそれほど高くないという両国の評判は守られたようだ。
しかしその理由は薬物の摂取方法の違いにあるのかもしれない。西欧の場合は丸めた紙幣でコカインを吸引することが多いが、アジアでの方法はツオ氏もわからないという。「国や地域によって服用方法が異なるのは確かだ。それが紙幣のコカイン汚染率に影響を与えているのかもしれない」と、ツオ氏は述べている。
だが、どこに住んでいようと、紙幣から完全に痕跡を消し去ることはほとんど不可能だ。アメリカやカナダでさえ、実際の汚染濃度はもっと高いのかもしれないのだ。
Christine Dell'Amore in Washington, D.C. for National Geographic News
「中央アフリカ共和国」とはどんな国なのか?詳しくはこちら »
■ 関連コンテンツ
・古代アンデスのミイラからドラッグ検出
・コーヒーは幻覚を引き起こす?
・マリファナから“ハイ”にならない抗炎症薬を開発?
・求愛時、薬物中毒のようになるキンカチョウ
・ワシントン・コロンビア特別区(アメリカ)
ナショナルジオグラフィック 文化最新ニュースはこちら »