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海外総合

ケニアの保護区で野生動物の個体数減少

2009年9月3日(木)17時5分配信 ナショナルジオグラフィック

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 ザンビアの夕暮れを背景に土煙を上げて走るヌーの群れ。2009年7月に発表された研究によると、ケニアの自然保護区では、ヌーやアンテロープなどのアフリカを象徴する動物たちが保護区外と同じペースで急速に個体数を減らしているという。また、アフリカの多くの保護区では保護政策が効果を上げていないとの指摘もある。Photograph by Chris Johns/NGS [ 拡大 ]

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 ケニアの自然保護区で、ヌーやアンテロープ(ウシの仲間)などのアフリカを象徴する動物たちが、保護区外と同じペースで急速に個体数を減らしているという。ケニア政府が実施している保護政策に疑問が呈されることとなった。

 調査にあたった研究チームは、既存のデータを基に主要な野生動物の個体数を調べた。その結果、保護区内外ともにこの30年で40%減少していることが判明したのである。

 ケニアの保護プログラムは、ゾウやシマウマなどでの成功例はあるが、それはあくまで希なケースであり、監視活動や違反者への法的措置が十分でないことから、保護政策は概してうまくいっていないのではないか。今回の調査で、同国の環境保護活動家たちのそのような懸念が現実であることが確認されたようだ。

 研究チームによると、ケニアに限らずアフリカの多くの保護区で野生動物の個体数が減少しているという。違法売買されるキバやツノのほか、食用の肉を目的とした密猟、生息環境の破壊、さらには人間の移住が原因だ。

 今回の研究に参加したアフリカ自然保護センター(African Conservation Center)代表デイビッド・ウェスタン氏は次のように話している。「ケニアの保護区では人間の定住や家畜の放牧による悪影響が出始めている。今後、野生動物の個体数がさらに減少すれば、危機的状況に陥るだろう」。

「PLoS ONE」誌のオンライン版で発表された今回の研究論文は、ケニア野生生物公社(KWS)などの政府機関が過去25年間にわたって収集した群棲動物(ヌーやガゼルなど)の個体数データを基にしている。

 ウェスタン氏らによると、今回の調査は自然保護区の運営状況を総合的に評価した数少ない取り組みの一つだという。現在、世界の保護区の総面積は地球の陸地の10%を占めている。

 人口約4000万人のケニアには49の保護区が設置されており、約58万平方キロに及ぶ国土面積の8%を占めている。しかしどの保護区も、移動性動物の行動範囲を網羅しきれていないという。そのため動物たちは頻繁に保護区外に出て、周辺部で開発が進んでいる町や農地で人間との摩擦が生じてしまうのである。

 ケニアでは、そのような開発地域が近ごろ増えている。かつて共同所有だった土地が分割されて個人が農場を始めたり、多くのマサイ族が半遊牧生活を止めたことが原因だ。

 非営利団体、世界自然保護基金(WWF)の東アフリカプログラムオフィス(EAPRO)で働くノア・シタティ氏は次のように話す。「野生動物の減少はアフリカのすべての保護区に共通した問題だ。人口の増加が主な原因であり、かつて保護区だった地域のほとんどが町や農地に変わってしまった」。

 ケニアの経済はエコツーリズムに支えられているため、野生の群棲動物の減少は由々しき事態である。例えば有名なヌーの大移動がマサイマラ国立保護区で見られないとしたら、観光客を他国に奪われてしまうだろう。

 また、ゾウの個体数が最近増加したことも問題となるかもしれない。保護活動の成功例として賞賛されているが、ほかの動物の生存が脅かされる可能性もあると研究チームは指摘している。

 マサイマラ国立保護区とアンボセリ国立公園では、増加したゾウによって森林が破壊されてしまった。エサを探したり身を隠したりする絶好の場所を失ったアンテロープは、生存のために新たな生息地を探さなければならなくなったのだ。

「このような“生態学的転位”が起こってしまうことがなにより深刻な問題だ。ある動物の生息地が変われば、それを捕食していた別の動物も生存できなくなり、しだいに生物多様性が失われていくことになる」と、前出のウェスタン氏は指摘する。

 ケニア当局は保護区内で起きている個体数の減少を既に把握しており、実情に合っていない保護政策を今後数年かけて見直していくという。

「急を要するという事態ではないが、人口が増加して野生動物が従来の生息地を失い、分散して生息するようになれば、いずれ取り返しがつかなくなる」と、KWSの広報担当ポール・ウドト氏はコメントしている。

Nick Wadhams in Nairobi for National Geographic News

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