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アカシアがアフリカの農地を救う

2009年9月4日(金)16時21分配信 ナショナルジオグラフィック

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 タンザニア北部にあるセレンゲティ国立公園で、沈む夕日に浮かび上がるアカシアの木のシルエット。 2009年8月に発表された報告によると、アカシアの一種、ファイドヘルビア・アルビダは、アフリカの農家にとって、農作物の成長を促進する窒素の供給源として機能し、その効果は何世代にもわたって持続するという。Photograph by Your Shot user Kevin O'Brien [ 拡大 ]

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 近年、アフリカの農業は深刻な危機に陥っている。そのような中、ある木に注目が集まっているという。ケニアの首都ナイロビの東に接するマクエニ県で昔から農業を営み今年で54歳になるジョハネス・ムティシャ氏は、「この15年の間、何とかして生計を立てようとできる限りのことをしてきたが、うまくいった試しはない」と話す。

 ムティシャ氏は腰をかがめへとへとになりながら、乾ききって硬くなった土を懸命に耕してきた。わずかばかりのトウモロコシやマメの種に水をまき、今度は立派に育ってくれよと祈る。

「最近は、ただ努力してるってだけだ。結果は聞かないでくれ」。ムティシャ氏は遠くを見やるような表情で語る。「20年以上前は違った。雨が降った後なら豊作になると誰もが信じることができたんだ」。

 ムティシャ氏の直面する事態は、現在アフリカ全土で起きていることである。どこを見ても農地土壌が極度に劣化し、生産量が落ち込んでいる。農地の土壌は養分に乏しく、各農家が使う肥料の平均的な量は世界のほかの地域に比べて10%程度でしかない。そして、厳しい干ばつなど気候変動の影響が重なり、状況はますます暗いものとなっている。

 そのような中、ナイロビに拠点を置く世界アグロフォレストリーセンター(World Agroforestry Center)の所長デニス・ギャリティー氏は、「農地にアカシアなどの肥料木を植えて育てれば、アフリカの農家の状況改善につながる可能性を秘めている」と話す。ギャリティー氏はこの考えを、8月にナイロビで開催された第2回世界アグロフォレストリー会議で強く訴えた。この会議には世界中から1000人以上の専門家が集まり、農地における植樹の重要性が議論された。

 ギャリティー氏によると、背の高く寿命の長いアカシアの一種、ファイドヘルビア・アルビダ(Faidherbia albida)は、長期にわたって農作物の成長を促進する窒素の無料の供給源として機能するという。

 アカシアのこの機能は窒素固定として知られており、マメ科植物に広くみられるものだ。共生細菌の作用により空気中の窒素分子が固定され、ある種の窒素肥料に変換される。したがって、アカシアを植樹すれば、汚染を引き起こす化学肥料を使わずに済み、同時に動物飼料や建築資材、さらには農民向けの薬までもが手に入る。サハラ以南のアフリカではどこでも実践可能だという。

「ファイドヘルビア・アルビダは葉の成長季節がほかの植物とは逆になっている。雨季が始まると休眠状態に入り、窒素を豊富に含んだ葉を落とす。この時期は農作物にとっては植え付け期であり、まかれたばかりの種は窒素を必要としている。そして乾季が始まると再び葉を伸ばす。このように、農作物と日光を奪い合うことがないのだ」。

 アフリカの大地を象徴する木であるアカシアは、砂漠から湿潤熱帯まで、幅広い気候や土壌で成長することができる。風よけとしても役に立ち、燃料や建築用の木材にもなる。さらに、雨季には根が水を吸収できるように土壌中に空間を作るので、土壌浸食を防ぐ効果もあるという。

 アフリカのサヘル地域でモロコシやアワなどイネ科の雑穀を栽培する農地にアカシアを植える慣行は、およそ60年前に最初の学術的な報告がなされている。今日でも、この慣行はセネガル、マリ、ブルキナファソ、ニジェール、チャド、スーダン、エチオピア、ガーナ北部、ナイジェリア北部、カメルーン北部といった地域で見られる。ザンビアではアカシア樹林に接したトウモロコシ畑で予備調査が実施された。肥料を施していない場合でも、アカシアの樹冠下の農地は平均でおよそ3倍の収穫量が得られるという。

 ノーベル平和賞受賞者ワンガリ・マータイ氏は同じ会議で、「アフリカは持続可能な農業に復帰しなければならない。アカシアなど肥料木を植える方式を積極的に採用していくべきだ」と述べている。

 マータイ氏は次のように話す。「私たちが持続可能性の低い農業を続けた結果、生態系に大きなダメージを与えてきた。特に、単一栽培はアフリカの食料不足の一因となっている。地域社会の脆弱性を減らすためにも、多種多様な農作物を育てるよう奨励していく必要がある」。

 国連環境計画(UNEP)の事務局長アッヘム・シュタイナー氏は、「アカシアの木のもう一つの利点として、小規模農家でも植樹で得た炭素排出枠を基に炭素市場で高収益を実現できる可能性もある」と話す。世界アグロフォレストリーセンターとUNEPでは現在、あらゆる種類の地形に関して炭素蓄積量を測定する標準規格を策定中であり、完成すれば、農家がそれぞれの農地に“木陰”を増やすよう金銭的な動機付けを生む仕組みができるはずだ。

 今年末にデンマークのコペンハーゲンで開催予定の気候変動会議(COP15)では、このような農業・植林関連プログラムを含む新しい戦略が話し合われることになっている。

Ochieng' Ogodo in Nairobi, Kenya for National Geographic News

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