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海外総合

温暖化阻止の最終手段、“地球工学”

2009年9月7日(月)17時11分配信 ナショナルジオグラフィック

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 ハワイのキラウエア火山から噴出する溶岩(2004年1月撮影)。 2009年9月に発表されたイギリス王立協会の報告書によると、自然の火山噴火と同じように硫黄の粒子を大気中に人工的に打ち上げれば、地球を効果的に冷却できるという。“地球工学”的な方法を真剣に検討した初めての研究だ。Photograph by David Jordan/AP [ 拡大 ]

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 巨大なスペース・ミラーやハイテク・ツリー。もしこのまま温室効果ガスの排出量を大幅に削減できなければ、地球温暖化を防ぐためにはこのような型破りな地球規模の対策が必要になるのかもしれない。今週、イギリス王立協会がある報告書を発表した。主要な学術団体が“地球工学”的なさまざまな方法を分類した初めての試みとなる。

 研究責任者でサウサンプトン大学の地球科学者ジョン・シェパード氏は、「受け入れ難い真実かもしれないが、温室効果ガスの排出量を大幅に削減できない限り、いずれ生物にとって非常に厳しい気候が訪れるだろう」と声明で述べている。

  万一そのような事態が訪れた場合、次の5つの“地球冷却策”を真剣に検討することになるというが、王立協会は積極的にこれらの計画を勧めているわけではない。計画には何十億、あるいは何兆ドルもの費用がかかるため、地球の“温度調節”の支配権をめぐって争いが起きる可能性があるとの警告もある。

「地球工学をうまく導入する上で最大の障害は、科学的、技術的な問題ではなく、社会的、倫理的、あるいは法律、政治上の問題だろう」と、報告書には書かれている。

1. 空飛ぶ火山

 火山が噴火すると二酸化硫黄を含む小さな粒子が大気中に噴出される。その粒子によって一部の太陽光線は宇宙に反射され、地球は素早く冷却されることになる。これまでに複数の研究者が同様の粒子を放出するジェット機や風船など、独自の“空飛ぶ火山”を用いた地球温暖化対策を提案してきた。

 現在の地球温暖化を食い止めるには毎年数百万トンの粒子を大気中に送り込む必要があり、報告書の試算によると数百億ドルの費用がかかる。それでも、地球工学による対策の中では最もコスト対効果の高いものに数えられるだろう。

2. 雲を生み出す船

 コンピューター制御の船が遠方の海を航行し、海水を吸い上げて霧を噴射すれば、低空に厚い雲が形成され、その雲で太陽光線を宇宙に反射することが可能だ。こうした船を数百隻航行させるには10億ドル以上の費用がかかるが、地球工学的な方法の中では比較的小さな額だ。

だが、船に局地的に温度や気象を変化させる機能が備えられることで、雲の制御をめぐって国家間で衝突が起きる恐れがある。「各国軍隊は長い間、気象を操る方法を研究してきたが、“気象兵器”が実現する可能性は低い」と話すのは、オーストリアにある国際応用システム分析研究所(International Institute for Applied Systems Analysis)の物理学者で国際関係専門家のジェイソン・ブラックストック氏だ。

「それよりは、各国は気候調節の技術を、国益を満たすために使う可能性が高い。例えば雨で穀物を潤すといったことだが、そのために衝突が起きる可能はある」と同氏は話している。

3. スペース・ミラー

 地球の大気で太陽光線を遮断する代わりに、宇宙空間に挑戦する方法もある。巨大な鏡や反射する円盤を地球周囲の軌道に乗せれば太陽光線を遮断できるという。

 王立協会によると、「この手法は安全で副作用が少ない。だが、費用は数兆ドルに上り、設計から建設、打ち上げまでに数十年はかかるため、従来の何倍もの規模の巨大な宇宙計画が必要になるだろう」という。

4. 人工的な樹木

 樹木は主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を空気中から大量に吸収しているため、より多くの木を植えることは、空気中から温室効果ガスを除去する最もコスト効果の高い方法の一つだと言える。

 だが、利用できる土地は限られているため、科学者たちは現在、化学反応を起こしてCO2を吸収する人工的な樹木を研究中だ。提案されている“樹木”の中には、アメリカンフットボールのゴールポストに似た形状で、窓の横型のブラインドのようなCO2フィルターを吊り下げたものもある。

 人工的に吸収されたCO2は、濃縮して洞窟や古い石油貯留層などの地下へ送り込む必要がある。 この方法は地球温暖化の根本原因である温室効果ガスを処理できるため、CO2の排出自体をゼロにしてしまうという方法を除けば、最も強力だという。

 だが、費用も最もかさむことになりそうだ。現在の温暖化に対抗するには数十兆ドルはかかるとみられる。

5. 山を溶かす

「岩石の山を溶かす」と言うと、まるでマッド・サイエンティストの妄想のように聞こえるかもしれない。だが、CO2を吸収する一つの手段として、岩石の自然な風化作用の速度を上げるという方法も提案されているのだ。

 通常の弱酸性の雨水では、何十万年以上もかけて山や岩石が溶解され削られてゆくが、CO2はその過程で空気中から取り出され、石灰石などの鉱物となって封じ込まれる。この風化作用を人工的に再現するという大規模な作業を実現するには、大きな鉱山がいくつも必要だ。また、海水を化学的に分解して酸を作り、岩石の上に噴霧するために大量の電力を使う。

 報告書の共同執筆者でカリフォルニア州にあるカーネギー研究所の気候科学者ケン・カルデイラ氏は、「基本的には実現可能だ。ただし、大規模な鉱山の運営と大量のエネルギーが必要となり、大変な費用がかかるだろう。私たちは最終的な手段だと考えている」と話している。

Mason Inman for National Geographic News

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