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海外総合

再生可能エネルギーの利用が進む米農家

2009年9月7日(月)17時6分配信 ナショナルジオグラフィック

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 カナダにある風力発電地帯の風車の下で休憩する牛の群れ。農村地域には、風や太陽光、牛のフンなど、再生可能エネルギーを生み出す天然資源があふれている。 近年アメリカでは、自家発電で作物を育てる農家が全土にわたって増加しているという。Photograph by Steve Winter/NGS [ 拡大 ]

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 アメリカでは、自家製の再生可能エネルギーを生産し、エネルギー自給を始める農家が増加しているという。風や太陽光、牛のフンなど、農地で手に入るさまざま天然資源が利用されている。

 エネルギーを自家製で賄えばコスト削減につながり、余剰電力を近隣家庭へ供給すれば新たな収入源にもなる。化石燃料を基にしたエネルギー・コストは非常に高い。2008年の統計によると、主として天然ガスから作られる燃料と肥料の費用が、農家支出全体の12.5%を占めていた。

 自家製エネルギーは化石燃料の使用量を減らすため、環境への影響も軽減できると考えられる。アメリカ農務省(USDA)や非営利団体の全米適正技術センター(NCAT)によると、食料生産部門は、加工・出荷過程を除いても国内エネルギー消費の3%を占めており、また、直接的な温室効果ガス排出の約7%を占めているという。

 USDA農村地域開発局のアイオワ州事務所で農村地域エネルギーのコーディネーターを務めるテレサ・ボムホフ氏は、「農家が再生可能エネルギーを導入しようとする動機には、伝統的な自給自律の精神という点も含まれている。海外の石油依存を減らすことが愛国精神の一部だと考えているのだ」と話す。

 ボムホフ氏によると、USDA管轄のアメリカ農村エネルギー計画(REAP)の助成金に対し、アイオワ州の農家から今年度は既に423件の申し込みがあるという。2003年度はわずか10件だった。

 持続可能性の推進を目標とする非営利団体ミネソタ・プロジェクト(Minnesota Project)でエネルギー・農業部門を担当するライアン・ストックウェル氏は、「規模や農産物、地理、環境など条件がさまざまに異なり、“平均的なアメリカ農家”というものは実在しない。各農家はそれぞれのニーズに応じてエネルギープログラムを調整する必要がある」と話す。

 そのような中、ハウベンシルト・デアリー(Haubenschild Dairy)という酪農場が大きな成功を収めており、エネルギー自給を目指す農家にとって理想的なモデルとなるかもしれないという。ミネソタ州プリンストン近郊にあるこの家族経営の農場は、農地エネルギー生産の可能性を実証している。

 1999年、大きな政府助成金を数種類取得したハウベンシルト・デアリーは、およそ46万ドルを費やして嫌気性消化装置を導入した。牛糞などの廃棄物を巨大なタンクに溜めて、酸素を遮断した上で一定の温度で加熱する仕組みだ。すると、バクテリアの働きにより、廃棄物は可燃性ガスと無臭で環境に優しい肥料の混合物へと分解される。ガスは発電機の動力源となり、発電機の廃熱はタンクの保温に利用される。

 ハウベンシルト・デアリーの場合は、巨額の投資も見合うものとなった。消化装置から得られる電力は、農場内部の乳製品製造を賄うだけでなく、近隣の家庭70軒に供給されている。ミネソタ・プロジェクトのストックウェル氏は、「ハウベンシルト・デアリーは地方政府と電力売買の契約を締結しており、農場の肥料代も大幅に削減している。また、廃棄物から副産物として生まれる低汚染の肥料を売ることもできる。これは園芸向けに最適な肥料となる」と話す。

 ただし、全米適正技術センターに所属する農地エネルギーの専門家リーフ・キントベルク氏は、「ハウベンシルト・デアリーの方法が、ほかの農場でもうまくいくとは限らない。この問題に関しては、万能の技術というものは存在しない」と話す。

 キントベルク氏によると、ハウベンシルト・デアリーは牛1000頭で成功したが、500頭以下の農家では元を取れるようになるまでに厳しい期間がかなり続くことになるという。また、ハウベンシルト・デアリーの場合、余剰電力の売却先として地方政府と契約できた点も恵まれていた。

「それぞれ農家はエネルギー需要や利用可能な資源を十分に調査し、その上で、どのような技術が経済的に見合うものかを理解する必要がある」と、キントベルク氏は話す。

 風力発電機を導入すれば、1メガワットあたり年間6000ドルもの利益を生み出すことが可能だ。しかし風力発電でも売却用のエネルギー生産に適さない農家も当然ある。キントベルク氏は、「そのような農家でも利益を得る方法は存在する」という。

 例えば、ボムホフ氏のUSDA農村地域開発局では、アイオワ州の農家を対象に、効率的な穀物乾燥装置の購入助成を行っている。この装置を導入すると、エネルギー支出を年間1万2000ドル節約することができるという。

 また、農場のあちこちにある電気柵や給水ポンプに太陽電池を用いれば、コストと化石燃料消費を抑えることができる。キントベルク氏は次のように話す。「このように絶好のチャンスがあふれている。ただし、数ある選択肢の中から自分の農場で利用可能で適切な手段を見つける必要がある」。

Maggie Koerth-Baker for National Geographic News

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