都市は熱帯雨林よりも炭素を蓄える
2009年9月9日(水)15時58分配信 ナショナルジオグラフィック
2009年9月に発表された研究結果によると、都市(写真は中国、上海の夜景)が木や建物、土に蓄える炭素の量はうっそうとした熱帯雨林より多いという。Photograph by Fritz Hoffman/NGS [ 拡大 ]
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産業革命以降、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量が増加し、気温は次第に上昇している。科学者たちは炭素を自然に蓄えるあらゆる環境に注目し、さらに取り込む量を増やそうと真剣に研究している。
「熱帯雨林はもちろんだが、身近な都市環境も有望だ」と、今回の研究を率いたドイツ、ライプニッツ農地研究センター(Leibniz Centre for Agricultural Landscape Research)のガリーナ・チャーキナ(Galina Churkina)氏は話す。
同氏によると、森林や草原といった自然生態系の炭素固定機能に関する研究は数多く行われているが、都市環境に着目した研究は比較的新しいという。現在、世界の人口の半分は都市に集中している。「都市に炭素を積極的に蓄えれば、一種の地球温暖化対策になり得る」とチャーキナ氏は話した。
チャーキナ氏の研究チームは、有機炭素が蓄えられているさまざまな場所を調べた過去の証拠を集めた。有機炭素とは、人間や植物、動物、木、土、さらにはごみに由来する炭素のことだ。チームの試算では、密集した中心部と広い郊外を併せた都市が蓄えている炭素は、アメリカの生態系に存在するすべての炭素の約10分の1を占めるという。
具体的には、200億トン前後の有機炭素が米国の都市に蓄えられており、その大部分が地中にあるという。この研究結果は「Global Change Biology」誌の次号に掲載される。
炭素を多く含む表土は、芝生の下や公園だけでなく建物や道路の下にもある。都市開発以前にあった草原や森林の名残だ。また、約30億トンは人工物に閉じ込められている。その3分の2がごみの処分場、残りが木材をはじめとする建築材料だ。
すでに多くの都市が、街をグレーから緑に変えるという野心的な計画を立ち上げている。例えばアメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスの「ミリオン・ツリーLA(Million Trees LA)」プロジェクトでは、数年かけて100万本の植林を目指している。木に吸収された二酸化炭素は、幹や枝、葉に炭素として蓄えられ、大気中の余分な二酸化炭素を減らす助けとなる。
ニューヨーク州シラキュースにある米国森林局で、都市林の専門家として働くデビッド・ノワック氏は次のように話す。「樹木には都市を冷却し、空調の使用を減らす効果もある。建物の周りに木を植えれば、人里離れた場所より4倍ほど二酸化炭素の排出量が減る」。
ただし、カリフォルニア大学アーバイン校の地球科学者ダイアン・パタキ氏のコメントによると、都市の芝生や木を増やせば地球温暖化対策になるかといえば、それは難しいかもしれないという。「炭素をもっと蓄えるように表土を整備すれば、その分、エネルギーを使うことになりかねない。そうした化石燃料による排出量もカウントする必要がある」。
中央スウェーデン大学エステルスンド校に所属するST(持続可能な)技術の専門家リーフ・グスタフソン氏は、家を建てる場合はコンクリートの代わりに木造を選ぶことも温暖化防止の助けになると指摘する。その効果の違いは、建材のリサイクルによって最も顕著となるという。
グスタフソン氏の研究によると、スウェーデンで家を建てるときに使われる木材のうち、実際に建物の一部になるのはわずか20%程度だという。残りの80%は廃材としてゴミになる。「廃棄するのではなく燃料として利用すべきだ」とグスタフソン氏は提言する。石炭や石油、天然ガスの代わりに廃材を燃やせば、電気や熱を生むことができる。また、木造住宅はたいていコンクリートの建物より冷暖房のエネルギーが少なく済むため、化石燃料の使用を抑えられると、同氏は言い添える。
さらに、レンガやコンクリートは製造にも大量のエネルギーを必要とするが、持続可能な方法で育てられた木であれば、伐採に使うエネルギーははるかに少ない。これも炭素の削減となる。とにかく、「少しずつでもいいから身近な社会でさまざまな機会を捉えることが重要で、その蓄積が全体の削減につながる」とグスタフソン氏は述べた。
Mason Inman for National Geographic News
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