CO2以外の温室効果ガスが台頭
2009年9月10日(木)16時54分配信 ナショナルジオグラフィック
アメリカ、メリーランド州ウッズボロで、農家が蒸した牛の糞を積み重ねている(2005年3月撮影)。この糞はこのあと別の農場に運ばれ、作物の肥料として使われる。 このような糞の山以外にも、空調装置やメタンガスが蓄積されている北極圏の土壌なども温室効果ガスの源だ。2009年9月に発表された研究によると、このようなガスもおなじみの二酸化炭素と同じく、人為的な地球温暖化の原因となるという。Photograph by Timothy Jacobsen, AP [ 拡大 ]
-PR-
現在のところ大気中の温室効果ガス濃度はCO2が最も高い。ただし“親玉”ばかりに対策を絞って“子分”を野放しにすれば、気候変動をめぐる新たな戦場が生まれる可能性もあるという。
アメリカ、バージニア州アーリントンに拠点を置く非営利団体「地球規模の気候変動に関するピューセンター」の上級研究員ジェイ・グレッジ氏は、「気候変動の現状を考えると、正直なところこれらの温室効果ガスを増やす余地はない。気候変動は予想より急激に進んでいる」と話す。
最近では、笑気ガスとも呼ばれる亜酸化窒素(N2O)が、既に人為的気候変動の原因となる温室効果ガスの約6%を占めているとの警告があった。
アメリカ、マサチューセッツ州ファルマスにあるウッズホール研究センターの上級研究員エリック・デビッドソン氏の最新研究によると、N2Oの主な排出源は家畜の排泄物だという。家畜の飼料を育てる土壌に家畜糞堆肥が加えられると、N2O排出のきっかけとなる。家畜の糞や尿の中には窒素が濃縮されており、土壌微生物との相互作用によってN2Oが生成される。
化石燃料の燃焼やナイロン製造といった産業活動もN2O排出の原因になっていることを、同氏は「Nature Geoscience」誌の8月30日号で報告している。
「人々がこれまで通りの生活を続け、食料生産、中でも肉の生産を増やしていけば、N2Oはさらに大きな問題になるだろう」とデビッドソン氏は警鐘を鳴らす。将来的には家畜の糞尿管理も気候変動対策に加えるべきだと同氏は結論づけている。ピューセンターのグレッジ氏も同意見だ。
グレッジ氏は、農業従事者のためにキャップ・アンド・トレードの仕組みを作り、N2Oの排出削減を促すことを提案している。例えばCO2排出削減の方法を見つけた農業従事者が、CO2排出源を相手に排出量の取引を行えるようにしてもよいだろう。「問題は排出削減を証明する仕組みがないことだ」とグレッジ氏は話す。
科学者たちは亜酸化窒素だけでなくメタンにも注目している。メタンは気候変動の第2の原因物質だ。グレッジ氏によると、過去1世紀で起きた温暖化の約15%がメタンによるもので、その影響力はCO2の20〜25倍にもおよぶという。「温暖化が進めば、自然環境から大量のメタンが排出される可能性もある」と同氏は指摘する。
重工業や家電エレクトロニクスの分野で冷媒として使われる合成ガスも、厄介な温室効果ガスだ。こうした合成ガスの多くは、クロロフルオロカーボン(CFC)の代替物として利用されるようになった。CFCは冷蔵庫や空調に使用されていたが、オゾン層破壊効果が問題視されたため1990年代に段階的に生産が禁止された。
「代替フロンがオゾン層を破壊することはないが、温室効果ガスであることには変わりない」とグレッジ氏は話す。ただし同氏によると、現時点では大気中の代替フロン濃度はCO2の100万分の1程度にすぎないため、地球の気候への影響はほとんどないという。
また、代替フロンはCO2と異なり、削減は容易なはずだと同氏は言い添えている。「経済は化石燃料を基盤としているため、CO2の方がはるかに対処しにくい。現在のところ、代替フロンは温暖化全体のごく小さな原因にすぎない。現代の技術革新のプロセスを用いれば、徐々に減らしていく方法も見つかるだろう」
John Roach for National Geographic News
新カテゴリー「地球」第2弾公開!地球が魅せる地形の数々をチェック! »
■ 関連コンテンツ
・オゾン層破壊の新たな脅威、亜酸化窒素
・温暖化阻止の最終手段、“地球工学”
・再生可能エネルギーの利用が進む米農家
・カンガルーの肉で温室効果ガスを削減!?
・温室効果のメカニズム
ナショナルジオグラフィック 環境最新ニュースはこちら »