月面に水、3機の探査機が存在を確認
2009年9月25日(金)18時49分配信 ナショナルジオグラフィック
NASAの月探査機クレメンタインが撮影した月の南極付近。クレーターが影に隠れて観測できない。 月の水はこのような永久影に隠れているのではないか。一部の科学者が唱えていた説を2009年9月に発表された研究が覆した。3機の探査機の観測によって、月の水が月面全体に薄く広がって存在していることが確認されたという。Picture courtesy NASA [ 拡大 ]
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先月末に交信が途絶えたインドのチャンドラヤーン1号をはじめとする3機の探査機が、月面をマッピングする過程で水(H2O)かヒドロキシ基(OH)、あるいはその両方の存在を示す光の波長パターンを検出したという。チャンドラヤーン以外の2機は、NASAの土星探査機カッシーニと彗星探査機ディープインパクトである。
しかし、地球のように水資源が豊富に獲得できるわけではない。水やヒドロキシ基の分子はほかの分子と結合しており、月面全体に薄く広がって存在しているのである。月で水やヒドロキシ基を1リットルほど集めるためには、約0.76立方メートルの土壌が必要になると科学者は推測している。
発表によると、月の水は太陽から流れてきた荷電粒子(太陽風)が月面に衝突し、相互作用を起こすことで持続的に作られている可能性がある。つまり、再生可能な資源であるかもしれないのだ。
発表の直前には、「ルナー・リコナイサンス・オービタ(LRO)が月の南極で大量の水素を検出し、月における水存在の可能性が高まった」という声明がNASAから出されていた。しかし、チャンドラヤーン1号のデータに基づく研究に参加したアメリカ、テネシー大学の惑星地質学者ラリー・テイラー氏は、そのNASAの声明は既に意味のないものだと考え、次のように述べている。「LROの発見は水素であって、われわれは水の証拠をつかんだんだ」。
しかし、月の水やヒドロキシ基はどのようにして作られるのだろうか。テイラー氏の研究チームは、太陽風で運ばれてきた水素イオンが、月面に存在する酸素を豊富に含んだ鉱物やガラスに衝突して作られると考えている。「月面で待ち構える酸素に水素イオンが出会って見事に結ばれるというわけだ」とテイラー氏は話す。
3機の探査機が月面で発見したのは水なのか、それともヒドロキシ基なのか。それはいまのところ不明だが、いずれは本格的な月面探査に役立つと考えられる。「月の土壌にヒドロキシ基しか含まれていなくても、抽出して水素と結合すれば真水を作ることができる」とテイラー氏は説明する。月面基地を建設し運営する場合、現地で水を調達すれば地球から持ち込む積み荷の量を抑えることできる。
まだいくつかの疑問点が残されているが、LROに結合されている探査機エルクロス(Lunar Crater Observation and Sensing Satellite:LCROSS)がまもなく解決してくれるかもしれない。この探査機は2009年10月9日、常に太陽光が当たらない「永久影」領域のクレーターに衝突することになっている。探査機を意図的に衝突させて広範囲に飛散する物質を観測すれば、土壌の成分を詳しく調査できるのだ。
以前、テイラー氏は月の乾燥説を断固として支持していたが、現在はそれが否定されたことに大いに喜んでいるという。 「新たな発見が何もかもひっくり返すことは科学では日常茶飯事だ」と同氏は話している。
今回の研究成果は、「Science Express」誌のWebサイトに9月24日付で掲載された。
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