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海外総合

チャイテン火山:流紋岩質火山の危険性

2009年10月8日(木)15時38分配信 ナショナルジオグラフィック

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 噴煙と火山灰の柱がチリのチャイテン火山から立ち上る(2008年5月31日撮影)。 チャイテン火山のように長い間休眠していた火山でも、ほんの数時間で目を覚まし、死の灰の塊を噴き出し、溶岩の急流を作る可能性のあることが、2009年10月発表の研究で明らかになった。Photograph by Alvaro Vidal/AP [ 拡大 ]

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 世界で最も危険な部類の火山のなかには、これまでの想定よりはるかに短時間で噴火する可能性のあるものがあるという。チリにあるチャイテン火山の2008年の大噴火に関する最新の研究で明らかになった。

 通常、火山が噴火する前には、地震による地響きを探知できることがほとんどである。この地震は火山内部のマグマがゆっくりと地表に上昇してくる際に発生し、噴火まで数週間から数カ月間にわたって続く。

 ところが、チャイテン火山の麓の住民が最初に地震を感じたのは2008年4月30日。長い間眠っていたチャイテン火山がその山頂を吹き飛ばすまで、逃げる時間は30時間しかなかったのだ。

 2008年5月2日、マグマは地殻の中をロケットのように駈け登っていった。チャイテン火山の地表まで5キロの距離を4時間ほどしかかからなかった。巨大な噴煙柱が、空中19キロの高さまで立ち昇った。

 幸い、数千人のチャイテン村の住民達には避難する時間が十分にあった。しかし、チャイテン火山のような流紋岩質火山の麓に住む人々が今後このような噴火に遭遇した場合、同じように運が良いとは限らないだろう。

 流紋岩質火山の主な原動力はシリカ(二酸化ケイ素)を主成分とした非常に流れにくいマグマで、しだいに圧力を高めていった後に激しい噴火を起こすことが多い。大規模な流紋岩質火山は、ワイオミング州のイエローストーン地域、カリフォルニア州のロングバレー、ニューメキシコ州のバレスにあり、日本列島やニュージーランドのタウポ火山帯にも同様の火山が見られる。

 流紋岩質火山はめったに噴火せず、その間隔が1万年に及ぶこともあるため、チャイテン火山の噴火は流紋岩質火山の噴火を観察できる初めてのチャンスだった。

 研究の共著者でフランスにあるオルレアン大学地球科学研究所のジョナサン・カストロ氏は次のように語る。「地球最大の噴火は流紋岩質火山によるものだった。ほかのタイプの火山より数は少ないかもしれないが、爆発力はずっと大きい」。

 カストロ氏の研究チームは、チャイテン火山がどのような仕組みで短時間のうちに噴火したのかを突き止めるために、噴火直前のマグマの温度、圧力、水量を精査した。そして、流紋岩質火山の深層部では、シリカを主成分とするマグマには水などの液体が含まれていることが明らかになった。

 この水は、上方からの圧力によって押しとどめられている。しかし、マグマが地層の表面に向かって上昇すると圧力が弱まり、水のほぼすべてがマグマから分離し、マグマは自然界で最も粘性の大きい液体となってゆく。その間に、分離した水は泡の層を形成し、周囲の粘性の大きいマグマへの圧力を高めてゆく。

 こうして蓄えられた圧力によって、よく振ったビール瓶の栓を抜いたときのように、マグマが地表を突き破って噴き出すのである。

 チャイテン火山は噴火を止めておらず、溶岩ドームは今も成長を続けている。

 研究の共著者でドイツにあるミュンヘン大学のドナルド・ディングウェル氏は次のように話している。「細かい火山灰と、家ほどの大きさの火山岩が降ってきている。このような火山灰や岩は、真上に噴き出すこともあれば、火砕流となって山の側面を流れ落ちてくることもある。火砕流は非常に高温かつ高速で、ひとたび人間が捕まると、窒息するか、熱気に焼かれるか、生き埋めになるか、あるいは瓦礫の下で粉々になるしかない」。

 カストロ氏とディングウェル氏は、大型の流紋岩質火山については、過去1万年間に火山活動の痕跡がなくても、監視体制を強化する必要があると強調している。

 今回の研究には参加していないが、アメリカ地質調査所火山災害計画のジョン・パリスター氏も同意見で、微小な地震などの噴火の兆候を捉えられるように、高感度の監視装置を火山そのものに設置すべきだと主張している。火山から遠い位置の地震計では、火山活動の初期の兆候を見逃してしまうからだ。同氏によれば、2008年の噴火時までに設置されていた地震計は、最も近いものでもチャイテン火山から200キロも離れていた。

「地面が揺れているのを人間が感じた時には、もう何かが始まろうとしているということだ」とパリスター氏は述べている。

 今回の研究結果は10月8日発行の「Nature」誌に掲載されている。

Brian Handwerk for National Geographic News

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