NASAのアレス1-X、打ち上げへ
2009年10月27日(火)17時16分配信 ナショナルジオグラフィック
2009年10月20日、NASAの次世代有人ロケット「アレス1」の打ち上げ試験機「アレス1-X」がフロリダにあるケネディ宇宙センターの発射台に運ばれた。アレス1-Xは2009年10月27日に打ち上げ予定。人類を再び月に送り込み、はるか宇宙の彼方での有人飛行を実現するための第一歩となるか。Photograph by John Raoux, AP [ 拡大 ]
-PR-
高さ99.6メートルのアレス1-Xは、現役のロケットで最大の大きさを誇り、4〜6人のクルーを収容するカプセル型宇宙船「オリオン」を宇宙へ運ぶために開発されたアレス1の評価用試験機である。
アレスとオリオンはともに、2010年に退役するスペースシャトルに代わり、宇宙への人員・物資輸送用ロケットとして活躍することになる。
アレス初の打ち上げ試験機であるアレス1-Xは、オリオンの実物大模型と打ち上げ中断システムを搭載し、本番さながらのシミュレーションが行われる。
NASAによると、およそ6分間の飛行中に700以上のセンサーがデータを収集する予定だという。データは、アレス1の構造について検証し、安全かつ安定した有人飛行を確実に実現するために活用される予定だ。
アレス1の第1段ロケットは、最大マッハ4の速度でアレス1を宇宙空間に送り込む。第1段が切り離された後は、2段目がオリオンを地球の軌道に乗せる役割を果たすことになる。
試験機アレス1-Xのサイズと重量は、実際のアレス1とほぼ同じだ。だが、第1段ロケットは、4つの固体燃料ブースターと1段目を分離・回収するための固体燃料分離モーター、新たに開発された回収用パラシュートが搭載される。
アレス1によって最終的に宇宙空間に送り込まれる2段目ロケットとその上部のオリオンについては、形状と重量をシミュレートした実物大模型が造られている。2段目ロケットとオリオンの模型は、地表から最大45キロ上空の地点に達した後、大気圏を通過して落下し、大西洋に着水する予定だ。2段目より上部は回収されない予定となっている。
アレス1-Xは、1980年代に公開したスペースシャトル以来となる、NASAの有人ロケット試験機だ。NASAは、アレス1-Xが新たな宇宙探査時代の幕開けを告げるものとなることを期待している。
しかし専門家の中には、アレス1を「単なる無駄遣い」と評する声もある。10月初めには、米国有人宇宙飛行検討委員会(U.S. Human Space Flight Plans Committee)によって、今後予算が不足する場合はアレスを含めたNASAの宇宙探査計画の多くが中止となる可能性が示唆された。
ただし委員会は同時に、アレス開発が完全に打ち切りとなるわけではないとも述べている。「インターネットでは私たちがアレスの中止を望んでいると騒がれているが、それは誤解だ」と話すのは、委員会のメンバーでNASAの元宇宙飛行士リーロイ・チャオ氏だ。「私たちは、有人宇宙飛行を実現するための選択肢を提案した。それが委員会に与えられた責務なのだから。アレス1はいま、2つの選択肢を前にしているのだ」。
NASAの今後については、アメリカ連邦議会とホワイトハウスで最終決定が下されることになる。
アレス1-X打ち上げの成功の可否を決めるのは、最終的には“自然”である。27日朝は曇りとの予想で、その場合は管制との交信が妨げられるうえ、今後必要となる動作データを得られない可能性がある。
ケネディ宇宙センターのスケジュールが混み合っているため、今回の打ち上げが延期となった場合、次のアレス1-Xの打ち上げは2009年12月か2010年初めになる可能性があると当局は警告している。
Brian Handwerk for National Geographic News
「地球」について詳しくはこちら »
■ 関連コンテンツ
・「アレス1」の試験ロケットが発射台へ
・アレス1-Xの分離試験に成功
・かぐや、月面に“縦穴”を発見
・NASAの次世代月面車、開発進む
・宇宙飛行の未来:再び月へ、そして宇宙の彼方へ
ナショナルジオグラフィック 科学&宇宙最新ニュースはこちら »