宇宙暗黒時代のガンマ線バーストを観測
2009年10月29日(木)19時8分配信 ナショナルジオグラフィック
「ガンマ線バースト」と呼ばれる短く強力な閃光が観測され(写真右の赤い点)、宇宙最遠の天体の証拠と判明した。2009年10月に天文学者チームが発表した。 長期に持続するガンマ線バーストは、巨大な星が爆発するときに発生すると考えられている(左はガンマ線バーストの想像図)。Illustration by D. Barry, NASA; infrared image courtesy A. J. Levan & N. R. Tanvir [ 拡大 ]
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約130億光年という長々距離から逆算して、爆発した星はビッグバンから約6億年後、宇宙の大きさが現在のわずか4%だった時代に誕生したと推定されている。今回のガンバ線バーストの発見は、ビッグバン直後から約8〜9億年続いた“宇宙暗黒時代”という未解明の時代について、かつてない手掛かりをもたらした。
天文学者の間では、暗黒時代に最初の星が形成されたと考えられている。だが、初期の宇宙は水素ガスで霧のように覆われて星の光が遮られていたため、最初期の星はこれまでほとんど発見されていない。
第1のチームの研究責任者であるイタリアのブレラ天文台のルーベン・サルバテッラ氏は、「私のチームや世界中のグループがこの珍しい現象を観測しようと長年研究している」と話す。
今回の成果は研究者たちに、最初期の星を含むさらに古い天体を発見できるかもしれないという希望をもたらした。「ガンマ線バーストは宇宙で最も明るい現象だ。つまり、明るいガンマ線バーストを観測すれば、最初期時代の宇宙を解明できる可能性がある」と話すのはデール・フレイル氏。同氏のチームは、アメリカ、ニューメキシコ州ソコロにあるアメリカ国立電波天文台を利用して終末期の星が放射する電波を観測している。
新たに発見されたガンマ線バースト「GRB 090423」は今年の4月、NASAの探査衛星スウィフトに搭載されたセンサーで最初に探知された。衛星のミラーが瞬時に回転してバーストを観測すると、即座に世界中の科学者に警報が送信された。
第2のチームの研究責任者でイギリスのレスター大学の天文学者ニアル・タンビール氏は、「携帯電話にテキストメッセージが届いて、すぐに行動を開始すべきだとわかった」と語る。世界各地のチームがハワイ、アメリカ・ニューメキシコ州、チリ、スペインの望遠鏡を利用して、巨大な爆発が徐々に姿を消してゆくまでを追跡した。
サルバテッラ氏、タンビール氏の両チームの成果は個別の論文として今週号の「Nature」誌に掲載されている。フレイル氏のチームの報告書は先週、ニューヨーク州コーネル大学のWebサイト「Arxiv.org」に投稿された。
新発見のガンマ線バーストは極めて遠い地点で発生している。その距離から推測すると、バーストの原因となった星の爆発は、宇宙の暗黒時代が“再イオン化(再電離)”と呼ばれる現象によって終わる前の時期に発生したことがわかるという。
暗黒時代には宇宙に充満する水素原子は電荷を帯びていなかったため、われわれが星の光として認識している放射物の大部分は水素ガスによって遮られていた。
しかし時間が経つと、最初の星から放たれた光によって水素原子が陽子と電子に分離(イオン化)し、電荷を帯びたガスに変わる。「この現象が起きると、宇宙は突然、極めて迅速に不透明な状態から透明な状態へと変化する。霧がかかった日に太陽が昇ってきて、急に霧が晴れる瞬間と似ている」とタンビール氏は説明する。
だが、ガンマ線は最も強力な種類の電磁波であるため、ガンマ線バーストは暗黒時代の霧を抜けて輝くことができるのだ。
さらに多くのガンマ線バーストを研究すれば、最初期の星がいつ形成されたのか、暗黒時代の“霧”が晴れたのはいつかなどを解明できる可能性がある。ネバダ大学ラスベガス校のビン・チャン(Bing Zhang)氏は今回の研究に関与していないが、「再イオン化時代やその前の宇宙暗黒時代の研究に刺激的な可能性を開くものだ」と「Nature」誌で成果を論評している。
Mason Inman for National Geographic News
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