宇宙線の発生源を解明か
2009年11月4日(水)18時4分配信 ナショナルジオグラフィック
宇宙では星の爆発が超強力な粒子加速器のような働きをして、いわゆる“宇宙線”を発生させていることが新たな研究で判明した。 写真は、地球から約1200万光年離れたスターバースト銀河「M82」。ここから、宇宙線に由来すると考えられる大量のガンマ線が発生していることがわかった。Photograph courtesy NASA, ESA, CXC, and JPL-Caltech [ 拡大 ]
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宇宙線は高エネルギーの素粒子であり、地球に絶えず衝突している。最も強力な粒子は時速157キロの速球と同じぐらいの威力で衝突することもある。宇宙線は銀河の遠く離れた場所から来ることがわかっているが、惑星や恒星のような大きな天体の磁場の影響で粒子の飛行進路が曲がってしまうため、正確な発生源の特定が難しい。
また、宇宙線は銀河の磁場にも捕獲されており、ふたをしたガラスびんの中のハエのように銀河の内部を飛び回っている。
一部の天文学者は超新星の残骸から宇宙線が発生しているという可能性を示唆していた。その理論によれば、大質量星が爆発するときに、広がる衝撃波が電荷を帯びた粒子(陽子)を引き寄せる。加速器のような超新星残骸の磁場内で粒子が跳ね返り、光速に近づくと宇宙線として銀河内に放出されるという。
天の川銀河の宇宙線や他の銀河に閉じ込められている宇宙線はこれまで観測できなかったため、この理論を検証するのは難しかった。だが今回初めて、国際研究チームが高エネルギー放射線イメージング望遠鏡配列システム(VERITAS:Very Energetic Radiation Imaging Telescope Array System)とフェルミ・ガンマ線天文衛星を利用してこの超新星理論の強力な証拠を発見した。
理論によると、いわゆる“スターバースト銀河”には急激な星形成が行われている領域があり、超新星爆発によってその一生を終える超大質量の星が多数存在することになる。つまり、天の川銀河のような通常の銀河よりも宇宙線が多くなるはずだという。
研究チームは最も高エネルギーの光であるガンマ線を探索した。光は宇宙線とは違って磁場の影響を受けないため、地上観測が可能であり、発生源を正確に追跡できる。
研究メンバーでカリフォルニア州にあるスタンフォード大学カブリ素粒子天体物理学・宇宙論研究所(KIPAC)のキース・ベクトル氏は2日、「ガンマ線は星間物質と相互作用する宇宙線に由来するものだと考えている」と記者会見で語った。
チームは予想通り、地球から約1200万光年離れたスターバースト銀河「M82」(写真)から大量のガンマ線が発生していることをVERITASの観測で突き止めた。フェルミ衛星でもM82とスターバースト銀河「NGC253」の両方からガンマ線を観測した。さらに、フェルミ衛星では天の川銀河の小さな伴銀河(衛星銀河)である大マゼラン雲の星形成領域から放射されたガンマ線も観測した。
研究メンバーでワシントンD.C.にある米国海軍研究所(NRL)のチャールズ・ダーマー氏は、「銀河に超新星が多く含まれるほど、ガンマ線はより強く輝くはずだ。われわれはそれを探している」と話す。
だが、この作用では特定のエネルギーレベルまでの宇宙線しか放出されない。最も高エネルギーの宇宙線は超大質量ブラックホールから噴出する粒子のジェットから放射されると考えられるが、その理論はまだ検証されていない。
研究メンバーでフランスの宇宙線研究センター(CESR)のユルゲン・クネーデルセダー(Jurgen Knodlseder)氏は、「今回の研究で、宇宙線の発生源の解明という大きなパズルのピースがまた1つ見つかった」と述べている。
Victoria Jaggard for National Geographic News
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