キリマンジャロの雪、十数年で消滅?
2009年11月4日(水)17時28分配信 ナショナルジオグラフィック
アフリカ東部、タンザニアにある有名なキリマンジャロの雪(撮影日不明)。2009年11月に発表された研究によると、地球温暖化によって氷河が縮小し、山頂の雪が2022年までにすべて消滅する可能性があるという。Photograph by David Pluth, NGS [ 拡大 ]
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アメリカ、オハイオ州コロンバスにあるオハイオ州立大学の氷河学者ロニー・トンプソン氏は次のように話す。「キリマンジャロ山頂の氷は着実に縮小を続けており、残念ながら十数年後には消滅するだろう」。
アフリカ東部、タンザニアにあるアフリカ大陸の最高峰キリマンジャロ山頂の氷河は、過去数十年間に渡って縮小してきたことが明らかになっているが、その原因が地球温暖化なのか、地域的な要因によるものなのか議論が続いている。降雪量の減少や、氷点下の気温で氷が水蒸気へと直接変化する「昇華」現象の増加など、地域に特有とも考えられる要因を氷の消失の主な原因として挙げる研究もある。
一方、今回発表された最新の研究は、地球温暖化が原因だとする説を支持するもののようだ。しかも地球の温暖化は、キリマンジャロ山頂の氷を溶かしているだけではなく、昇華にもつながっているというのである。「キリマンジャロにも地球規模の気候変動が影響を与えている」とトンプソン氏は主張する。
同氏によると、キリマンジャロで昇華を生じさせる湿度の低下と雲量の減少は、地球温暖化による気候変動の一部だという。「地球上の気温分布が変化すれば、降水量、雲量、湿度、気温が変化する。これらはすべて気候変動の一部だ。したがって、キリマンジャロが地球規模の気候変動の影響を受けていないという議論は間違っている」。
トンプソン氏の研究チームはキリマンジャロの氷の縮小過程を数十年に渡って調査してきた。それによると、キリマンジャロでは1912年以降に氷河の85パーセントが失われ、さらに2000年の時点で残っていた氷の26パーセントが、最後にキリマンジャロの氷の正確な調査が行われた2007年までに消滅していたという。
しかも、氷河の氷床コアを分析したところ、氷河の表面が一度溶けて再び凍った形跡が見られ、これが一因となって氷河の厚みが薄くなっていることがわかった。
また、キリマンジャロ山頂の火口の中央部で氷河の下の岩盤に杭を打ち込み、その周囲の氷の深さを調べたところ、2000年以降に氷河の厚みの50パーセントが失われたことがわかった。このときに調査した氷河は年に5メートル以上のペースで厚みが縮小しており、2018年までにすべて消えてしまう可能性があるとトンプソン氏は指摘する。
キリマンジャロの写真を時系列に並べてみると、冠雪が年々小さくなっていることがわかる。しかし、「航空写真などで見ても、キリマンジャロの氷河の厚みが薄くなっていることはわからない。もしこれからある年に氷河が存在したとしても、その氷河の厚みは非常に薄いだろうし、その次の年には氷河自体が無くなっているかもしれない」とトンプソン氏は嘆く。
現在、キリマンジャロの氷河の先端は年々後退しているが、それと同じ量の氷が、氷河が薄くなる過程で消えているという。「キリマンジャロは氷河という“首”を切り落とされようとしている」。
この研究結果は2009年11月2日発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences 」誌に掲載されている。
John Roach for National Geographic News
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