東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で統合へ向けた協力を確認したばかりのタイのアピシット首相とカンボジアのフン・セン首相の確執が強まっている。フン・セン氏がタクシン・タイ元首相の政治亡命を認め、経済顧問にすると発言したのが発端だ。
クーデターでタイを追放されたタクシン氏は、国有地をめぐる汚職で有罪判決を受け、現在、中東ドバイなどで逃亡生活を送っているが、カンボジアを訪れているとのうわさは絶えない。フン・セン氏はタクシン氏に邸宅を贈ることも表明。タクシン氏をミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんになぞらえ、政治的迫害を受けていると述べるなど発言はエスカレートしている。
これに対し、タイでは反タクシン派団体が、国境にあるクメール遺跡プレアビヒア寺院付近からのカンボジア軍撤退を要求。同寺院をめぐっては、カンボジアによる世界遺産への申請を、当時のサマック首相(タクシン派)が支持を表明し、国内保守派や反タクシンから猛反発を受けた。カンボジアが単独で申請し昨年登録されたためタイが反発、昨年2度、軍の衝突で双方に死者が出ている。
アピシット首相は、タクシン氏がカンボジア入りした場合は身柄を引き渡すよう要求。「関係を改善するつもりがあるのか。ボールはカンボジア側にある」と述べているがフン・セン氏が応じる様子はない。統合への道のりは長い。(宮野弘之)