【ワシントン=山本秀也】アフガニスタンのアブドラ元外相が1日、同国大統領選の決選投票への不参加を表明したが、オバマ米政権は「(不参加は選挙の)合法性に影響を及ぼすものではない」(クリントン国務長官)との認識を示している。米国は、再選の可能性が高まったカルザイ大統領との協力を前提に、米軍の増派を柱とする新たなアフガン戦略をあくまでも推し進める構えだ。
アブドラ元外相の1日の態度表明を前に、クリントン長官はエルサレムでの記者会見で、決選投票への参加問題は「アブドラ氏の決める話だ」と発言。「カルザイ大統領が決選投票を受け入れた時点で(選挙の)合法性は固まっている」と述べ、アフガン新政権を構築する道筋はすでに整っているとの考えを強調した。
米紙ワシントン・ポスト(電子版)によると、米政府高官は、アブドラ元外相の動きが「単に政治的な動きにすぎない」として、国務長官と同様に、選挙プロセスに何らの障害にもならないと指摘した。
米政府が静観姿勢を強調する背景には、カルザイ大統領を説き伏せて実施に道筋をつけた決選投票の合法性を動揺させるわけにいかない、という事情が絡む。
オバマ大統領は10月30日にもマレン統合参謀本部議長ら米軍首脳と会合を開き、米軍増派の内容について軍事レベルの詰めを図るなど、すでに11月7日の決選投票をにらみ新たなアフガン戦略を公表するタイミングを計っていた。
米政府がまず必要とするのは、決選投票を経たアフガンの正統政権であり、その意味ではカルザイ大統領が決選投票に同意した時点で米側のシナリオは当面、整ったともいえる。
ただ、米軍増派の規模がどの程度であれ、イスラム原理主義勢力タリバンを制圧し、アフガン復興を軌道に乗せるためには、新たな政権が合法性とともに実効的な支配能力を備えることが欠かせない。
アブドラ元外相の動静が今後の政情を不安定化させる事態につながる場合、米国の戦略は実行段階で新たな難題に直面する恐れもある。