オバマ政権登場で大きく後退したとされる米国の保守主義は今どうなっているのか、最大の草の根保守の組織「アメリカ保守連合(ACU)」のデービッド・キーン会長は、保守勢力が政権のリベラル施策の過剰推進の傾向により勢いを復活させてきたという見方を強調した。一問一答は次のとおり。(ワシントン 古森義久)
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−−政治イデオロギーの現状はどうか
「オバマ大統領の就任以来、9カ月、米国全体では保守派の政治家が国民の人気を回復し、思想としての保守主義も勢いを復活させてきた。バージニア州やニュージャージー州の知事選(いずれも3日投開票)でも共和党や保守派の候補が人気を高めている。国民全体では一貫して、自分を保守とみなす人が30%台後半、リベラルとみなす人が20%未満という構図だが、オバマ氏が就任以来、保守が後退、あるいは縮小したようにもみえていた。しかし、今では保守の核が政治勢力として存在を新たにしてきた」
■大きな政府に反発
−−保守復活の原因は
「オバマ氏とその側近が超リベラル派の『大きな政府』政策の推進を急ぎすぎたことへの反発が大きい。オバマ政権は経済危機対策として、景気刺激策や破綻(はたん)した主要企業の国有化などで4500億ドルという巨額の政府支出を決めた。さらに巨額の支出を要する医療保険改革に急いで取り組み始めた。この動きは政府活動のあまりにも急速で大規模な拡大だと国民からみられて、民主党支持層にも反対が微妙に広がってきた。そもそもオバマ氏の当選は保守主義全体の敗北とか破綻ではなく、国民の多数派がブッシュ前大統領の共和党政治を拒んだのだ。ブッシュ氏は保守主義から離れ、『大きな政府』共和党になっていた側面も多かった」
−−今の保守主義の内容をどう特徴づけるか
「米国の保守主義の内容自体は1970年代、80年代から変わっていない。源流にさかのぼれば、まず第一に経済保守主義として政府のパワーや役割をできるだけ制限し、税金を減らし、政府支出を減らすことがよいという思考だ。経済活動も官より民に重点をおくべきだとする。第二に国防保守主義がある。その基盤にはソ連共産党支配のような非民主主義の全体主義体制に強く反発し、米国らしい自由と民主主義を堅固に守るべきだとする。第三に伝統・社会保守主義がある。米国の建国や憲法の成り立ちをみても個人の自由や権利を強調し、政府の権限を制約している。
その伝統に忠実に、さらには社会生活でも個人の価値観や宗教観を優先し、政府の介入を最小限にすることを求める。これらが互いに結びつき、ときには離れ、存在してきた。いまもその基本は変わらないが、やはり前面に出るのは経済保守主義であり、米国民の多数派はその考え方を支持しているといえる。だからこそ国民皆保険ふうの医療保険案は拒まれるのだ」
■大敗の度、強くなる
−保守主義の歴史とは
「保守主義を国政レベルでまとまった政治運動に育てたのは64年の共和党大統領候補となったバリー・ゴールドウオーター上院議員だ。それまではフランクリン・ルーズベルト大統領以来、民主党リベラル派が圧倒的な主流だった。共和党も保守というよりビジネス志向に過ぎなかった。当時、共産主義、社会主義など生産手段を国有、公有とする集産主義が世界を制するかのようなムードだったが、それに危機を感じた勢力が保守主義を国政に結びつけていった。そして60年代後半以来、保守派は痛い敗北を味わうたびに強くなり、政権までとるというパターンを記録してきた」